システム化とは、コンピュータ化のことではありません。

「 システム」 とは何ですか?
「 システム化 」 とはどのような意味を指すことと思われますか?

と質問されたらいかが答えられるでしょうか。

「 システム 」 という言葉を日常の中で聞くことが多くなりました。
生産システム、販売システム、情報管理システムなど、少し前から別段なんの違和感もなく、企業の中に 「 システム 」 という言葉が入ってきました。
営業のシーンなどでも、最近は 「 システム提案型営業 」 などというフレーズを 使ったりします。

もともと、このシステム構築講座というものは、SE( システムエンジニア ) に システム構築力を身につけていただくために生み出した研修技法なのですが、このシステム構築講座の冒頭の部分で、いつも同じ質問をしています。

すなわち、

「 システム 」 「 システム化 」 とは、どのような意味だと思いますか?

という質問です。

意外にも、 『 システムエンジニア 』 という、肩書きをもつ方々の大半が、 実はこの 「 システム 」という意味をあいまいに捉えている ことが分りました。

「 う~ん、仕事の効率化を行うことかなあ… 」

「 従来、アナログで行っていた処理をコンピュータ化して、仕事の処理量、正確さを 早めることでは… 」

「 まあ、ようするにコンピュータを使って、仕事を効率化することだと思います… 」

などなど、実際に答えていただくと上のような回答になってしまいます。

システムエンジニアと言われる人たちの中にも、システム化とはコンピュータ化の ことであって、目的は仕事の効率化を行うことであるという認識が強いようです。

今回、システム導入講座というものを始めるにあたって、 まずこの 「 システム 」 という意味をきちんと定義しておく必要があります。

角川書店の国語辞典で調べると、 『 システム=①組織 ②制度 ③体制 』 などと書かれています。

ただ、その定義のままであると、非常にあいまいさを残すことになるため、 本講座では 「 システム 」 および 「 システム化 」 という言葉を、 以下のように定義したいと思います。

システムとは、継続的に成果 / 結果が導かれる仕組みのことであり、 システム化とは、その仕組みを構築することである。

ここでは、 「 システム 」 “ 仕組み ” として定義しています。

ただ、単なる仕組みではなく、 “ 継続的に成果 / 結果が導かれる仕組み ” であるとしています。

ここはとても重要なので、もう少し解説を加えます。

 

“ 継続的に成果 / 結果が導かれる仕組み ” とは、別の言い方をすると、

『 その仕組みを導入さえすれば、 目標とする継続的に成果 / 結果が導かれる 』

ことを意味しています。

もっと言えば

「 凄腕の営業マンや職人でなければ結果を出せないというやり方は、 システム化されていない 」

と捉えることができます。

「 凄腕の達人でなく、ほとんど素人に近い人や、若手社員、その他 未経験に近い人たちが行ったとしても、その “ 仕組み ” があれば、 おおよそ期待する成果 / 結果を導いてしまうもの 」

… そんな “ 仕組み ” 「 システム 」 として捉えているのです。

この定義に基づけば、

「 システム化はコンピュータ化のことではない 」

と言い切ることができます。

継続的に成果 / 結果を導く仕組みがシステムであれば、 コンピュータなど全く関係のないシステムは世の中たくさんあります。

たとえば、コンピュータなどまだない時代から、製造業界は存在していました。

例えば、「 ねじ ・ ボルト 」 の業界では、その頃から、ねじ ・ ボルトを造るメーカー、 それを卸す問屋、販売する小売業という “ 仕組み ” ができていました。

こうした “ 仕組み ” があるからこそ、メーカーはより品質の高いねじ・ボルトづくりに専念できただけでなく、多くのメーカーがそれぞれが生産する品種を住み分け、卸業がそれを 全体で取り揃えていくという仕組みで、業界として何千・何万というねじ・ボルトの多品種生産・調達を可能にしてきた背景があります。

これは、まぎれもなく 「 継続的に成果 / 結果を導くための仕組み 」 であり、 ここで定義する 「 システム 」 になっていたわけです。

チェックポイント!

「 システム 」 とは?
単にコンピュータ化をすることを意味するのではなく、継続的に成果 / 結果を導くための “ 仕組み ” のことであり、その “ 仕組み ” を構築することが 『 システム化 』 である。

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