4.メディアを知らなければ、メディアに注目はされません

前章までの内容で、すぐに新聞や雑誌に掲載されなくてもプレスリリースを配信する効果は持続することはご理解いただけたのではないかと思いますが、おそらく、

「とは言っても、やはり少しでも多くのメディアに記事を掲載してもらうにはどうすればいいのか。」

という点が、気になっていらっしゃるのではないでしょうか。

少しでも多くのメディアにプレスリリースの情報を記事にしてもらうには、先ずはメディアの性質や特徴を知ることが重要です。

全てのメディアに共通している性質や特徴を挙げてみます。

メディアとは中立で公共性の高いものです

メディアの役割とは何でしょうか。企業側の伝えたい情報を読者や視聴者に知らせる媒介ではありません。ここが多くの方が勘違いしてしまいやすい非常に重要なポイントです。

メディアの役割は、私達、読者や視聴者(生活者)が知りたい情報を「正確」に発信することになります。ですから広告的な誇大表現や虚偽の情報、企業側にしかメリットのない情報は嫌います。

逆の言い方をすれば、読者や視聴者にとって緊急性の高い情報は、何よりも優先して情報を発信する性質があります。

メディアとは、中立の立場で公共性の高いものであることを理解してください。

メディアは社会性の高い情報を欲しがります

社会性とは言いかえれば、読者や視聴者にとって価値の高い情報と考えてください。私達の生活スタイルに合った情報として、季節感のある情報やトレンド、お得な情報、斬新な情報、斬新でユニークな情報は、皆さんも常に欲しいと思っているのではないでしょうか。

メディアの欲しい社会性の高い情報とは、簡単に言えば皆さんが欲しい情報であるとも言えるのではないでしょうか。

メディアには多くの情報が集まります

多くの企業が広報活動を行うことで、メディアには毎日、何百、何千というプレスリリースが集まります。その中から記者が、記事にすべきかどうかの判断をプレスリリースごとに数秒で決断していきます。それほど、大量の情報がメディアには集まります。

ですから、記者が興味を持つようなプレスリリースの書き方やきちんと記者に見てもらえるようなプレスリリースの送り方も重要なポイントです。

これだけ多くの情報の中から、皆さんのプレスリリースを採り上げてもらうためには、メディアの代表宛にプレスリリースを送るようなやり方では難しいでしょう。

では、メディアが興味を持つ情報、すなわち、私達が知りたい情報とは何でしょうか。
代表的なものを少し挙げてみましょう。

緊急性の高い情報(地震などの天災、凶悪犯罪、食品偽装、製品リコール、選挙、戦争など)
多くの人に知らせないと身体的、精神的、金銭的なダメージがあると思われるニュースは、出来る限り早く伝える使命を持っています。ですから、折角、メディアが興味を持ちそうなプレスリリースを送っても、緊急性の高い情報が優先されてしまって記事にならないことがあります。こういうケースは運が悪かったと思い、諦めずに再度、プレスリリースを送ってみましょう。
読者、視聴者にとってお得な情報、限定感のある情報
メディアは自分達の媒体を多くの人に買って読んでもらわなければなりません。多くの人に買ってもらうことで、そのメディアに広告を出稿した企業も、多くの人に広告を見てもらえ、満足するからです。テレビ局が視聴率にこだわるのも、そういう経緯があるからです。
多くの読者・視聴者を獲得するには、メディアを読む或いは見る人にとってお得な情報が必要になります。土曜日は、あそこのレストランのランチが安い、とか、ここで買うとポイントが2倍貯まる、など、お得な情報が常に載っているメディアは、多くの人に読まれます。ですから、メディアにとっても読者や視聴者にお得な情報は常に欲しい情報になります。
また、季節限定のイベントや時期が限定されたトレンドなども読者や視聴者に価値の高い情報になります。
読者や視聴者が経営者やビジネスマンであるメディアであれば、企業活動にとって有益な情報と置き換えられます。
ユニークな情報、新しい情報
私達は新しいものが大好きです。面白いものも大好きです。メディアも1年前に発表された製品よりも、今、発表されたばかりの製品の情報を求めています。また、どこにでもあるような何の変哲もない情報よりは、ユニークで斬新な情報が好きです。
ユニークな商品やサービス、他の会社では真似できない特殊な技術や生産設備、世間が驚く研究成果は、メディアは喉から手が出るほど欲しい情報です。
インパクトのある情報
インパクトのあるニュースはメディアも私達も求めています。サプライズ(驚き)のある情報とも言えます。例えば、100人前のジャンボ餃子を作った情報や、日本最大のショッピングモールなど、「最大、業界No1、最高、最安」などの要素があるプレスリリースは、サプライズ要素がありメディアに掲載されやすい傾向にあります。
昔、話題になりました「暴君ハバネロ」というスナックは、世界一辛いとされていた唐辛子はハバネロのレッドサビナ種で、この成分を使っていたことで、一躍有名になりました。
問題解決型の情報
生活者の中でもビジネスの世界でも問題は山積しています。このような問題を解決する内容のプレスリリースは有効です。生活者の視点で言えば、待機児童の問題や高齢化社会に伴う社会保障の問題、交通渋滞、飲酒運転、凶悪犯罪など多岐に渡ります。解決できる問題の大きさによって、情報のインパクトは異なります。
また、ビジネスの世界でも、世界的不景気によるコストダウンの必要性や新技術の研究開発、資金調達、事業承継、人材採用、営業力など、企業が抱える問題は膨大です。
このような問題を解決するための製品やサービスに関する情報は、メディアが興味を持つ可能性が高いと言えます。

いかがでしたでしょうか。

プレスリリースは配信するだけでも、前章で解説した通りに効果を発揮します。また、いつも積極的にプレスリリースを送ってくる企業は、メディアにとっても元気な会社という印象を持たれます。業界の景気が悪い時ほど、積極的な広報活動を行って、逆に目立つことが重要です。

そして、より効果を高めるためには、プレスリリース配信先のメディアの性質や特徴を知ることで、どのような内容のプレスリリースが効果的なのか、ご理解いただけたのではないでしょうか。

では、次章以降では具体的なプレスリリースの書き方と送り方について、解説いたします。

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