第9回 4月の賃上げの前にすべきこと!

 

「うちの会社の給与は安いの? 高いの?」

お元気ですか。中央人事総研の大竹です。昨年9月にコラムを発信して以来のご無沙汰です。
組織活性化および社員のモチベーションアップを仕掛ける人事制度設計が得意で、中小製造業のクライアントの問題解決のために日々奔走しております。今回は、来月4月に各企業で実施される賃上げ、昇給についてお話をします。
よろしくお願い申し上げます。

 

「うちの会社の給与は安いの? 高いの?」

よく社長や総務部長さんから「うちの会社の給与水準は世間と比較して高いんでしょうか? 低いんでしょうか?」とよく聞かれます。
特に社長さんは自分が支給している社員さんの給与には特に関心が強いようです。
例えば社員同士の内緒話で、「友達と先週の日曜日に話をしていたんだけど、自分の給与よりなんと5万円も高いんだよ。うちの給与は低すぎ」などといった会話を聞いたら、とても気分が悪くなりませんか。
社長さんの立場なら、「それは君の働きぶりが悪いんだ」と言いたくなるかと思います。
話をもとに戻しますね。

 

あなたの会社の給与額を比較するには

給与水準を比較するにはまずは、統計を使うことです。知人の会社の賃金水準を聞いても1、2社 では比較はできません。皆さんは、どんな統計を使っていますか。

例えば、
・国税庁
・商工会議所
・経済団体の賃金統計
・厚生労働省
などが出している給与統計があります。

国税庁では、「民間給与実態統計調査」、商工会議所では、大きな会議所であれば、「モデル賃金」 という名称で毎年有料で購入できます。
経済団体では、例えば○○県経営者協会が毎年発行しています。

 

私がオススメなのはこれです。

私がお勧めするのは、厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」です。この統計は凄い量です。
県別、従業員別(5人以上、10人以上、100人以上、1000人以上など)、年齢層別、職種別(かなり細かいです)の月給、賞与、年収のサンプルがなんと数万単位であります。他の国でもこんなに多くはないらしいです。日本くらいでしょうか。
「賃金構造基本統計調査・政府統計の総合窓口」で入力して、グーグルなどで検索をしてみて下さい。
この統計データを使って、皆さんの会社の給与水準を比較されてみてはいかがでしょうか。
ちょうど、4月の賃上げが近いですから良いタイミングですね。

 

比較の仕方はこうする

自社の賃金分析をする際には2つのポイントがあります。

1)月給での比較
その中で
時間外手当を含まないパターンと含むパターンの2つが必要です。
これは、特定の社員に時間外手当が突出している場合は、何か問題があります。
この原因を分析する必要があります。
月給は、管理者、一般男子、一般女子とで比較し、世間相場は先に示した統計値を活用して、比較をして下さい。

 

2)年収での比較
月給と同じで、時間外手当を含まないパターンと含むパターンの2つが必要です。
年収で階層別にみて、問題がないか、世間相場と比較して、低すぎる社員はいるのか、です。
特に中小企業の場合は、一般社員の年収が管理者の賃金を逆転していることが多いのです。
それは、時間外手当がその原因と言えます。また女子社員の賃金が男子社員と比較して、低いという状況もあります。
もし、詳しい方法を知りたい方は、ご連絡を下さい。

 

 

あなたの会社の昇給や賞与のルールは社員が納得していますか。

この昇給をするにしても、中小企業も場合は、社長の勘や鉛筆ナメナメで実施されている会社も 少なくありません。
社員が数名の会社なら、社長との会話は及ぶのでまだいいのですが、10名を超えると段々と社長は社員との会話も少なくなります。
そうすると、社長さんが社員を評価した結果が実態と違うということが起こります。
そうすると、社員は、
「俺はこんなに頑張っているのに、なぜ評価が低いんだ!! あいつは俺より昇給が多かったらしい。どうみても俺の方が頑張っているのに・・・」
それで、実際に何人かの優秀な社員が会社を去っていきました。これは、実際にあった話です。
ですから、社員が10名を超えた時点で、評価と賃金の仕組みを作る必要性が出てきます。

 

4月は昇給の時期です。また、社長さんが悩む時期です。今年は、どうするか、他の会社は いくらなのか等情報収集されるかもしれません。

いろいろ情報収集していますが、賃上げは昨年より0.3~0.7くらいアップしそうです。
社員を辞めさせないように、少しでも賃金で引きとめようと大企業は必死になっています。
そこで中小企業はどう対応するか、です。世間相場だけで判断して、場当たり的に「えいや」とやってしまうと、賃金は後からは下げることはできません。きわめて危険です。
若手、優秀な社員が辞めないように、どのように今後賃上げ、昇給をしていくのか。

そこで重要なのは、現在、高くかさむ人件費の中で、会社を長期に守り、今いる社員を定着させ 続けるアナタの会社ならではのオリジナル賃金制度を構築し、それを浸透させていくことに他なりません。他社の制度を真似してもダメです。他社とアナタの会社は違うのです。やはり社長の考え、想いを実現するための制度が必要です。

今年こそ、是非、社員に納得してもらうために昇給や賞与のルールを作って欲しいと思います。 詳しい内容はまた次の機会にお話をしますね。

 

(執筆者: ㈱中央人事総研 代表取締役 大竹英紀

 
 
 
 

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