第10回 全3回 社内改革の成功事例に学べ人が集まり定着する会社と
人が去って行く会社の違い(第1回) 

 

人が集まり定着する会社作りとは

お元気ですか。もう5月ですよね。中央人事総研の大竹です。
組織活性化および社員のモチベーションアップを仕掛ける人事制度設計が得意で、中小製造業のクライアントの問題解決のために
日々奔走しております。 今回は「人手不足」は中小企業の業績にも多大な影響を及ぼしています。大企業では、賃上げ額の増加や
労働時間の短縮、有給休暇の取得奨励など、就業条件に積極的です。しかし、中小企業は大企業のような施策はなかなか講じることが
できません。そこで今回は、中小企業でも人が集まり定着する会社作りについて、事例を含めてお話しします。

大竹英紀執筆 「近代中小企業 28年5月号特集号」より一部抜粋 発行:中小企業経営研究会

人材に関する3つの悩み

私は仕事柄として、多くの中小企業経営者とお会いする機会が多いのですが、一番相談として多い のが「人」に関することです。
その中でも特に多いのが次の三つです。

●求める人材が採用できない
良くあるのが、「大竹さん、少しも良い人材が来なくて困っています」と言われる会社さんです。求 人会社に多大な費用をかけてやっと
面接をしても、その会社に来るとは限りません。結局は、大企業や他社に流れてしまっているのです。ここで検討してみるべき点が
一つあります。それは「求める人材像」を明確化しているかどうかです。意外とぼんやりと、とにかく「仕事ができる人」とか「間に合う人」が
欲しいとか、あいまいな点が多いのです。


●採用してもスグに辞めてしまう
下図は、中小企業・小規模事業者の離職率を示したものです。採用後3年間の離職率は中途採用 では、約3割ですが、新卒においては、4割を超えています。特に小規模事業者では、5割超が3年以内に離職しています。中小企業・小規模事業者にとっては、限られた条件の中で、最大限の人事労務施策を講じ、将来を担う基盤人材を長期に定着させることが緊急の課題と判断します。このままでは、採用しても、離職するという悪循環が続き、社内環境もドンドン悪化していきます。

 

●定着しても、こちらの期待通りに育ってくれない。 この悩みも会社にとって切実な問題です。将来は幹部候補生と思って、数人と競い合わせ、社内勉 強会や社外研修に参加させても、なかなか思い通りに育ってくれないという成長の壁があります。ここで興味深い調査があります。「あなたは管理職になりたいですか」というアンケート(リクルートマネジメントソリューションズ2013年調査)に対して、2010年の新人の回答は「なりたい+どちらかと言えばなりたい」が、60%を占めていたのに、2013年では40%程に減少しています。この結果を見るに、上昇志向という気持ちを今の組織内では持ちにくいという理由があるかもしれません。また、本人に「この部署では○年間、この仕事を通じて○○を実現して欲しい」という役割や、期待を明文化して伝えている企業が少ないということもあります。こうした理由から自分の目標を見いだせなくなり、現状に満足してしまう結果になるのでしょう。

 

 

(執筆者: ㈱中央人事総研 代表取締役 大竹英紀

 
 
 
 

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