2つの基本シートを使ったシステム構築

課題点抽出シート

システム構築プロセスの中で、最初のポイントは 、あるべき姿現実の課題 を書き出して、その 問題の本質 をとらえることです。

あるべき姿(理想) できていない点(課題点) 問題の本質(最大課題)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

上記を、課題点抽出シート と名づけています。

使い方は簡単です。まず、一番左の 「あるべき姿(理想)」 に、システム化によって至りたいゴール を書きます。
例えば、在庫を無くしたい、新規営業開拓を進めたい、社員の意識を高めたいなど、 何でも自由です。

「できていない点(課題点)」 のところでは、理想に対して、現状でできていない点 を列記していきます。

例えば、「顧客重点化による営業効率化」 というテーマについてのシステム を考えることにしましょう。

すなわち、重点顧客に営業のエネルギーや人材を投入していき、重点顧客からの売上をさらに倍増させていく という経営指針を システム化 しようというものです。

あるべき姿(理想) できていない点(課題点) 問題の本質(最大課題)
<テーマ>
顧客重点化による営業効率化
  • 顧客の絞込みができていない。
  • 現状の売上金額のみを追っている。
  • 担当者一人当たりの件数が多い
  • 同じウェートで顧客対応している
  • 担当地域が広範囲過ぎる
  • 顧客のリサーチができていない
  • 各業界向けの営業担当がいない
  • 委託管理に時間が取られる
  • 顧客向け専用の事務処理が多い
    (社内滞在が長すぎる)
  • 営業が商品の荷揃いを行っている
  • 納期管理に時間がかかる
  • 顧客への移動時間が長い
  • 訪問に計画性が無い
  • アシスタントの人数が少ない
  • デリバリー不安
  • 技術的チャンネル不足
 
 
 
 
 
 
 

「重点顧客化による営業効率化」 という あるべき姿(理想) に対して、たくさんの できていない点(課題点) がアウトプットされています。

こうした できていない点(課題点)を解決していくシステム をつくっていくのが今回の課題ですが、 こうも多いと大変です。
そこで、課題点を要約して、解決しなければならない 問題の本質 は何であるのか を見極めることが重要です。

この 問題の本質 のアウトプットの方法はいろいろあるのですが、ここでは一番分かりやすい方法として、できていない点(課題点)を優先順位をつける 方法で行ってみます。
そうすると、以下のような結果になりました。

あるべき姿(理想) できていない点(課題点) 問題の本質(最大課題)
<テーマ>
顧客重点化による営業効率化
  • 顧客の絞込みができていない。
  • 現状の売上金額のみを追っている。
  • 担当者一人当たりの件数が多い
  • 同じウェートで顧客対応している
  • 担当地域が広範囲過ぎる
  • 顧客のリサーチができていない
  • 各業界向けの営業担当がいない
  • 委託管理に時間が取られる
  • 顧客向け専用の事務処理が多い
    (社内滞在が長すぎる)
  • 営業が商品の荷揃いを行っている
  • 納期管理に時間がかかる
  • 顧客への移動時間が長い
  • 訪問に計画性が無い
  • アシスタントの人数が少ない
  • デリバリー不安
  • 技術的チャンネル不足
  • 顧客のリサーチができていない
  • 担当者一人当たりの件数が多い
  • 顧客向け専用の事務処理が多い(社内滞在が長すぎる)

上記の結果では、顧客重点化による営業効率を進めるにあたって、 最大の問題 である 「顧客リサーチ」 を解決する仕組みをつくることが何より必要であると指し示しています。

ここまでは、皆さんすぐに記入できるはずです。どのようなテーマでも結構ですから、すぐに実行してみてください。

システム構築シート

次のプロセスは、問題の本質 を解決していく システム(仕組み) を構築していくこと です。

ここでは、システム構築シートというものを紹介します。

要因分析 解決の方向 システム化
☆問題の本質
顧客リサーチができていない

 
★要因
   
 
 
 
 
 
 

最初の項目では、問題の本質 を記入し、それが現実に引き起こされている 要因 を描き出します。
ここでは、「顧客リサーチができていない」ということが慢性化している要因を導き出せばよいわけです。

すると、以下のような分析結果となります。

要因分析 解決の方向 システム化
☆問題の本質
顧客リサーチができていない
 
★要因
  • 調査意欲が少ない
  • 調査方法がわからない
  • 顧客から情報が上手く聞き出せない
  • 顧客へのヒューマンネットワーク不足
  • 窓口担当者が閉鎖的である
   
 
 
 
 
 
 

要因分析としては、上記のような結果だったとします。
意外にも、基本的なところでの 顧客情報の収集方法がわからない というものが主であったということです。
こうしたことも、こうして論理的に整理してみてはじめてその問題点にタッチするケースが多いのです。

次に、解決の方向 を描き出します。

要因分析 解決の方向 システム化
☆問題の本質
顧客リサーチができていない
 
★要因
  • 調査意欲が少ない
  • 調査方法がわからない
  • 顧客から情報が上手く聞き出せない
  • 顧客へのヒューマンネットワーク不足
  • 窓口担当者が閉鎖的である
  • ヒアリングシートを作成し、質問項目を明確にする。
  • 定期的な行事も含め顧客を訪問する
  • 接待費の有効利用
  • 期限を決めて行動する
  • 最新の会社案内をもらう
  • 事務処理に必要な資料の整理
  • 専門部署の設置
 
 
 
 
 
 
 

上記のような 解決の方向 が指し示されました。

そして最後に、システム(仕組み)化 を図っていきます。
ここでいう システム化 とは、一番最初のセクションで説明しましたとおり、『単なるコンピュータ化のことではなく、継続的に成果/結果がでる仕組みのこと』を指しています。

そのことをもとに、システムを考えていくと、例えば以下のようなものができあがりました。

要因分析 解決の方向 システム化
☆問題の本質
顧客リサーチができていない
 
★要因
  • 調査意欲が少ない
  • 調査方法がわからない
  • 顧客から情報が上手く聞き出せない
  • 顧客へのヒューマンネットワーク不足
  • 窓口担当者が閉鎖的である
  • ヒアリングシートを作成し、質問項目を明確にする。
  • 定期的な行事も含め顧客を訪問する
  • 接待費の有効利用
  • 期限を決めて行動する
  • 最新の会社案内をもらう
  • 事務処理に必要な資料の整理
  • 専門部署の設置
  • 調査用紙を作成し、期限内に全得意先を調査しチーム内でランク付けを行う。
  • 事務処理方法をチーム内で統一し、 チーム全員でどの得意先でもフォローできるようやり方を明確にする。
  • 調査依頼カードを庶務に提出し、様式を決め期限内に返却してもらう。

上記は、システム構築についてむしろアイデアのレベルです。
実際のシステムにあたっては、こうした仕組みをさらに検証して、また精度の高いシステムへとブラッシュアップしていく工程が続きます。
そうして具体的な設計図にまで落とし込んでいきます。(私たちの仕事は、ここから始まります)

ただ、ここで考えていただきたいのは、皆さんの会社が、こうしたアイデアさえも出し方が分からず、 仕組みをつくるという発想自体を何年も怠っている会社になっていないかどうかという点です。

あるいは、仕組みを考えてはいるものの、現場知らずの社長の空論での企画になり、社員が翻弄されている会社 もよく見かけます。

最も重要なことは、今行ってきたことは、簡単に実行できる ということです。
会議の中でも、ちょっとした打合せの中でも実施可能です。
全員でテーマを合わせて、一つの課題について、その対応策を考える具体的な方法であるとも言えます。

長々と会議を行って、方向性のない議論を続け、最後にはなんの仕組みも結論もでない会議を続けているぐらいであれば、皆さんの会社でも、この方法を採り入れてください。

チェックポイント!

システム化 ということは、難しいことでも、専門的なことでもありません。誰でも、流れに沿って考えていけばできる ことです。

長々と結論の出ない会議を続けているよりも、この システム化の技法 を採り入れて、皆さんで実行してみてください。

新規会員登録