SPができない状態での中抜き営業は死を招く

大半の中小製造業が置かれている業界での位置。
それは「下請け」というポジションです。
エンドユーザーの顔を見ることもなく、元請け会社を介して仕事の発注がある。
もちろん、「元請け」、「下請け」の関係があるからこそ、「下請け」の会社はモノづくりに専念できたわけですし、それがゆえにこれまで品質にこだわり続けることができたわけです。

ところが、不況になると、この関係が不自由になる。
エンドユーザーからのコストダウンの要請を「元請け」が受けて、さらなるコストダウンの要求が「下請け」である中小製造業に課せられます。
こうした苦しさから、「下請け」である会社がまず考えることは、「元請け」になろうということです。
ところがこの施策、SP(セールスプロモーション)ができていない状態で行うのは、とても危険なことだと考えます。

「下請け」の会社が、エンドユーザーにアプローチしようとする時、最初に考えるのは、まず初回の取引きとしてなんらかの発注をもらいたいということです。
こうした場合、おおよそ3つのパターンで考えがちです。

その1)会社の案内だけで終始する

明確なテーマを持たず、ただ会社の案内だけで終始するようなユーザー開拓であれば、やらない方がましだと思います。

ユーザー担当者も日常の過酷なノルマの中で苦労しているはずですし、こうした中でアポイントの時間をとるだけでも大変なことです。

今の時期に、やすやすとアポイントがとれるような担当者は、暇であるわけですし、言ってみれば「キーマンではない」ということです。

その2)特に商品力もない製品であるが、価格を下げてPRする

安売りでユーザーにアタックすることも一つかもしれません。
「元請け」が間に入ることで抜かれていた利益分を値引きすれば、念願かなってユーザー開拓も可能かもしれません。

しかしながら、こうした後先を考えないアプローチ必ず失敗に終わります。
「安さ」で取引き開始した場合、顧客のメリット感「安さ」でしか残りません。

安い案件ばかりで、しかも納品レベルは高いものを要求され続け、対応できないとすぐ足元を見られる。
やっとの思いで取引きをはじめたユーザーに切られることを避けるがあまり、さらなる安売りを繰返すばかりでなく、やがてこうした動きが元請けにもバレてしまい、つまはじきにあう。

結果として、ユーザーからは奴隷のようにこき使われて、安売りを繰返すだけの会社へ陥ることに…。
こうなってしまっては、何の意味もありません。

その3)とても商品力のある製品を前面に押し出してPRに専念する

商品力がある製品を持っている。それ自体がすでに優位性のあることです。
少し前のまだゆとりのある時代であれば、ユーザーも試みとしてそうした製品を二つ返事で購入したと思います。

ただし忘れてはいけないことは、
新製品を試みること、あるいは取引先を変えること自体にユーザーには負荷がかかっているということです。

今の時代は、そうしたリスクを背負ってまで従来の仕組みを変える必要があるのかという判断をされてしまいます。
多くのユーザー担当者は、目新しさの導入による評価よりも、目先の失敗の回避を重視するようになっています。

単に商品力があるからと言って、それを持ちこんでも容易く売れないというのは上記の理由からです。

結論として、時代は厳しさを増しています。
SP(セールスプロモーション)の手法をもたないままでユーザー開拓に奔走
することは、経費の高騰を招くばかりか、会社のポジションを悪くさせてしまうこともありえるわけです。

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