未来型住宅への試み:アルミエコハウス

未来の都市型住宅を目指した取り組み

アルミニウムの建築構造をもつ実証住宅が話題となっています。これは近未来の都市型住宅をイメージし、住む人のライフスタイル、省エネルギー、リサイクルなどを考慮した「エコハウス」です。材料は構造部材をはじめ、できるかぎりアルミニウムとした意欲的な試みです。

アルミニウムの軽快な素材感が住宅に未来的な表情を与える
(アルミエコハウスの中庭)

できるだけアルミを使いエコロジーを具現化

アルミエコハウスの概要

建設場所 筑波建設研究所
建築規模 総二階
建築面積 92.16m2
性能評価 平成13年中

アルミエコハウスのコンセプト
  • ライフスタイルと居住性
  • 都市性と集合性
  • エネルギー・コンシャス
  • リサイクル性
  • 空間とイメージ

精度のよい構造はアルミの特徴

H形のはりと骨組となる柱はいずれもアルミ押出形材で隙間なく接合H形のはりと骨組となる柱はいずれもアルミ押出形材で隙間なく接合

本体屋根の上は太陽電池、アルミパンチングメタルなどを組み合わせたダブルスキン構造本体屋根の上は太陽電池、アルミパンチングメタルなどを組み合わせたダブルスキン構造

本体屋根、外壁は発泡ウレタンをアルミパネルで挟んだ構造本体屋根、外壁は発泡ウレタンをアルミパネルで挟んだ構造

水蓄熱式床暖房システムユニット。これが床下に敷きつめられ、家全体には 5トンの水が使われる水蓄熱式床暖房システムユニット。これが床下に敷きつめられ、家全体には 5トンの水が使われる

キッチンのシンクやカウンターもアルミ製キッチンのシンクやカウンターもアルミ製

ソファーなどの家具はアルミハニで構成されているソファーなどの家具はアルミハニで構成されている

アルミドロスによる敷石アルミドロスによる敷石

 

エコハウスの評価とこれから

完成したアルミエコハウスでは、住宅性能を評価するため、環境負荷と居住性の物理的評価(国土交通 省建設研究所)と居住性の感性工学的評価(東京理科大学)が行われています。このうち、居住性の評価項目には断熱性、気密性などの項目が含まれ、これまでの段階ではおおむね良好な評価が期待できます。
また感性工学的評価では、実際に多くの人に泊まってもらってアンケートを実施しています。その中には「未来的、シャープ、スマート」などの意見が見られます。今回のアルミエコハウスはあくまで実証住宅であり、実際の住宅に適用する為には、さらにさまざまな角度からの検討が必要です。次はどのような形を私たちに見せてくれるか、注目されるところです。

新しい建築の動向に対するアルミニウム

新しい建築構造材としてアルミニウムが注目されている背景として、建築基準法の改正が有ります(性能基準型建築基準法)。平成12年10月に改正案が告示され、まもなく正式に施行告示がなされる見通しです。これまでの建築規準法では、主構造材は鋼材、セメント、木材の3種類しか認められていませんでした。新しい建築規準法では、アウミニウムが認められるようになり、耐久性、リサイクル性、施工性などにすぐれた構造材としてより使いやすくなるものと思われます。

執筆者紹介

アルミニウム・アソシエイツ 株式会社 代表取締役社長 菱田好文
ホームページ:http://alumi.shichihuku.com/

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