第20回 中小企業における税制の特別措置-税務

中小企業は、税務で様々な恩恵があります。今回はその内容について概要を説明します。

1. 中小企業投資促進税制

(ア) 概要
機械・装置その他の対象設備・資産を導入された場合、税制の特別措置を受けることができます。
(イ) 対象者
青色申告書を提出する個人事業者又は資本金1億円以下の中小企業
ただし、一定の事業の場合には対象外となります。
(ウ) 対象となる設備・資産
① 機械・装置
1台又は1基の取得価額が160万円以上
② 電子計算機・デジタル複合機
1台又は1基、あるいは同一種類の複数台の合計の取得価額が120万円以上
③ 一定のソフトウェア
合計の取得価額が70万円以上
(サーバー用のOS、データベース管理ソフトウェア、ファイアウォールソフトウェアは対象外です。)
④ 普通貨物自動車
車両総重量3.5トン以上
⑤ 内航船舶
取得価額の75%が対象
(エ) 措置の内容
7%の税額控除又は30%の特別償却を受けることができます。
(例外)
資本金が3,000万円超の法人-特別償却のみ
所有権移転外ファインナンスリース取引で取得した設備・資産-税額控除のみ
(オ) 具体的な手続
① 確定申告書等に必要事項を記載し、特別控除や償却額の計算等に関する明細書を添付した上で税務署に申告
② 取得等をした設備について、その性能や取得価額等を立証できる資料の保存
(カ) 適用期間
現状においては、平成22年3月31日までとなっております。

2. 少額減価償却資産の取得価額の損金算入

(ア) 概要
取得価額が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、税制の特別措置を受けることができます。
<取得価額>
その資産を取得するにあたって要した支出。具体的には、購入代金+運送料等。
<減価償却資産>
建物や車など、時間の経過と共に価値が劣化すると考えられている資産。
土地は減価償却資産に含まれません。
(イ) 対象者
青色申告書を提出する個人事業者又は資本金1億円以下の中小企業
(ウ) 対象となる設備・資産
取得価額が30万円未満の減価償却資産
(エ) 措置の内容
取得価額の全額を損金算入できます。ただし、特例の対象となる損金算入額の上限は年間300万円までとなっていることに注意が必要です。
(オ) 具体的な手続
確定申告書等に必要事項を記載し、少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付した上で税務署に申告して下さい。
(カ) 適用期間
現状においては、平成22年3月31日までとなっております。

3. 問い合わせ先

国税庁、国税局または税務署の税務相談窓口
中小企業庁 財務課 電話:03-3501-5803

執筆者紹介
大井 宏明(おおいひろあき)

株式会社ルーキー
代表取締役社長

公認会計士。慶應義塾大学経済学部卒業。1999年から監査法人トーマツにてベンチャー企業の株式公開支援業務、法定監査業務、その他各種コンサルティング業務に従事。2005年末に監査法人トーマツ退社後、2006年初から上場準備企業の取締役CFOに就任し、上場準備業務の統括責任者となる。2008年株式会社ルーキーを設立、代表取締役社長に就任。経営戦略立案や社内体制整備等の各種コンサルティング業務を実施している。
株式会社ルーキーホームページ:http://rookie-japan.com

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