CAD/CAM座談会・第7弾~モールドベースメーカー編~

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CAD/CAMは製造業にとって、もはや欠かせないツールとなった。
しかし、利益を左右するまでに重要度を増したCAD/CAMの利用技術は個人のスキルに委ねるところが大きく、技術者の育成は急進する大きな課題である。
CAD/CAMの利点もしくは問題点といった光と影の二つの面について、モールドベースメーカーの方々にお話を伺った。

今後ますます3次元化が進むと考えられますが、その取り組みや問題、お客さまとのやり取りについてお伺いしたいと思います。

坂本:

データは2次元時代からメールでやり取りしています。それが3次元になって、量がちょっと増えているという感じです。

中野:

ここ数年は急激に2次元設計から3次元設計への変更が増えてきて、社内でも大きな問題になっています。やはりわが社もメールでデータを添付してもらう方法が主流ですが、データ量の多い形状加工データ等は、基本的にパラソリッドデータをメールでもらっています。まず一番困るのは3D図面ですと材料取りや見積りといった寸法情報データがすぐには見ることが出来ません。そこでソフトメーカーのアンドール社さんと弊社の技術部門が共同開発したCADソフト※1を使用して、3D図を2D図にして寸法等が即時に確認出来るシステムを取っています。もう一つの問題は、社内製造工程の一部や、協力工場さんで、どうしても2D図が必要だということです。

渡邉:

弊社は設計業務から発注業務までをトータルで支援するソフトウェア※2を提供しています。ユーザーさんや販売店さんの方で図換に入力していただければ、こちらは意識をしなくても加工できるという仕組みができています。3次元化については将来に備えていろいろなCAD/CAMをテストしています。

最近の状況で金型屋さんから、3次元データを渡すのでそれでやってほしい、というような依頼はありますか?

岩壁:

モールドベース屋さんが3Dデータだと対応してくれないので2次元文化を捨てられない、という型屋さんの声も聞きますが。

渡邉:

うちがメインにしている中小物のところは3D化されていないところが多いので、全体の比率で言うと3次元は非常に少なくなります。

坂本:

弊社の場合は少ないですね。ひとつはトップの生データに固執しすぎたというのがありますが、基本的に入れ子タイプの金型の受注が多く、直彫りが圧倒的に少ないので、そちらに関しては2Dで進めているところが多いという認識です。設計が多い客先ではどうしても2次元部隊、3次元部隊というふうにできてしまって、現状では全部が2次元を捨ててしまえるかというとそうではないように思います。

中野:

3次元が必要ないというところは、本当に必要ないのですよね。私どもの場合はちょっと違って、製品形状面の3D荒堀加工は、モデルデータできますが、入れ子タイプのモールドベースの金型屋さんも3次元設計が増えていますので、「3D図で全加工をやってくれるのか?」というような問い合わせは最近多くなってきています。社内では、「お客様の3Dデータ丸投げでも対応をする」という営業方針なので基本的には断らないですね。

岩壁:

そうすると、今後3Dデータでの仕事の割合は増えてきますよね。

中野:

ここ数年で一気に増えました。特に去年あたりからかなり増えています。営業がそういった3次元設計したいお客さんにも受注を断らないわけですから。逆に「3D図面でください」という営業マンも増えました。2Dより3Dの方が立体的に物を見られるし、形状が解りやすいので見積りも早い場合があります。3Dを2D化したものをお客さんから支給されてしまうと、逆に陰線だらけで見づらいですし。

※1 【DesignFrow/AutoDrawing】デザインフローオートドローイング

※2 モールド画像

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座談会参加者一覧( 敬称略 )

コーディネーター

株式会社
日本デザインエンジニアリング

株式会社日本デザインエンジニアリング 代表取締役 岩壁 清行

代表取締役
岩壁 清行

サカモト・ダイテム
株式会社

サカモト・ダイテム株式会社 代表取締役 坂本幸浩

代表取締役
坂本 幸浩

日本金型材
株式会社

東部営業本部
埼玉・新潟・長野統括

日本金型材株式会社 東部営業本部 埼玉・新潟・長野統括 所長 中野敬司

所長
中野 敬司

双葉電子工業
株式会社

精機事業部
精機技術グループ
ソフト開発ユニット

双葉電子工業株式会社 精機事業部 精機技術グループ ソフト開発ユニット 技師 渡邉和彦

技師
渡邉 和彦

バックナンバー

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