特集:「宇宙」

概要

 

ライト兄弟が初めて空を飛んでから114年。アポロ11号の乗組員が初めて月面に降り立ってから48年。宇宙の誕生はおよそ137億年前と言われているから、人類が空を目指し、さらに宇宙空間へ飛び出そうと挑戦を始めたのは、ほんの最近の出来事にすぎない。今日では宇宙へのアプローチが多岐にわたり、資源開発、人工衛星、宇宙旅行、宇宙輸送を軸に、通信やソフトウェア分野などあらゆる角度からのチャレンジが続けられている。

日本での本格的な宇宙開発は、戦後数年での東京大学生産技術研究所の発足に端を発する。彼らは次々にロケット発射実験を成功させた。また、今から25年前には日本初の宇宙飛行士がスペースシャトルに乗り込んだ。さらにここ数年では、米Google社が主催する月面探査レースのファイナリストに、「HAKUTO」が選出されたことによって、日本の民間企業の技術への関心が徐々に高まってきている。

しかし、国内の宇宙機器産業は官需依存の傾向がまだ根強く、民間企業の研究開発投資は不十分だ。こうした理由から、日本の製造業者たちは宇宙関連の技術・開発力が充分あったにも関わらず、なかなか形にすることができない歯がゆさを感じてきた。しかしいま、門戸は開かれつつある。

一方で海外に目を向けると、様々な国や地域でロケット・人口衛星を打ち上げている中、アメリカが一際大きな存在感を示している。日本とは対照的に、民間企業が潤沢な宇宙予算を武器に台頭している。なぜなら、これまで絶大な影響力を及ぼしていたNASAのスペースシャトル計画が終了し、宇宙産業の民営化が急速に進んでいるからだ。アメリカ発のベンチャー企業は人工衛星を次々に打ち上げたり、火星移住計画を発表したりしている。

日本製造業の宇宙関連機器参入へのチャンスは多くあるものの、一筋縄では行かないようだ。先述の国内予算状況に加え、アメリカはイノベーション面でも優位に立つべく技術保護に非常に積極的である。今後、如何に日本が他に類を見ない開発ができるかが鍵となってくる。この状況下でも2017年10月18日に、国際共同研究チームが日本の月周回衛星「かぐや」のデータ解析を通じて、月の巨大な地下空洞を発見した。これは「HAKUTO」が目標とする、ローバーを利用した月面探査・資源開発へ一歩前進したかたちとなる。さらに日本政府は、今後の宇宙産業規模を官民合わせて10年間で5兆円を目指すとしており、こうした点からも未知数の可能性を秘めた分野であるといえる。

今回の特集では、ますます開拓が進む宇宙という舞台に果敢に挑戦する企業を紹介する。


掲載企業

HAKUTO  株式会社 ispace
アルミ試作・加工のエキスパート 独自技術で宇宙へ挑む  HILLTOP株式会社
“「つくる」の先をつくる” 超硬小径エンドミルで夢への挑戦を支える  日進工具 株式会社
宇宙往還機のキーテクノロジーとなるジェット‒ロケット燃焼モード切替実験に成功。世界初!
  PDエアロスペース株式会社

中部ものづくりUNITED

特集:「宇宙」

 

 

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