特集:リクルート・教育

株式会社山岸製作所

株式会社山岸製作所

育てているのは立派な「社会人」

株式会社山岸製作所
お互いに学び、一緒に考える

株式会社山岸製作所は、自社内に群馬県認定の職業訓練学校「ヤマギシテクニカルセンター」をもつ。そのきっかけはリーマンショックだった。

 2009年、売上が前年比7割減まで落ち込んだ。そこで、月曜と火曜は仕事、水曜から金曜までを勉強会とし、それまでは属人的だった職人技を社内で共有していくことにした。その年の春には雇用調整助成金の給付を受けられることになったが、座学のみという条件がついてきた。これは、機械の前に立って実習を行うと、業務との境界線が不明瞭になるためである。

リーマンショックから約一年、売上が前年比7割程度まで回復した時、通常の業務体制に戻そうとしたら、いろいろな人から「もったいない、なんとか続けられないか」と言われた。そこで、技術継承を目的とした職業訓練学校として残すことになった。

現在では、新入社員教育の一環として、毎年4月から9月までの毎週金曜日に開講される。学習内容は、旋盤や検査機械の基礎はもちろん、一般的な社会人マナーから財務までと多岐にわたる。会社の財務に直結する内容を学習するため、社員一人ひとりが利益を生み出す取り組みに前向きな組織となった。

たとえ大学の専攻が機械科でも、同社で必要とされる技能という意味では、全員が素人と言える。そこで、大卒、専門学校卒、高卒の差はなく、もちろん理系と文系の違いや男女の区別もなく一緒に学ぶ。半年間、毎週1日が学習の時間に当てられ、実際の業務は行わないわけだが、決してマイナスではなく、以前は道具の使い方を学ぶのに2~3年かかっていたものが、現在では1年で可能になった。

また、文系出身者でも、CAD/CAMが使えるとかっこいいというイメージがあるからか、学習を通して才能が開花する場合もある。2018年春、同社では外国人エンジニアを採用するが、もちろん他の日本人と一緒に、同じカリキュラムを学ぶ予定だ。

スペシャリストを育てる「匠塾」

株式会社山岸製作所

約2年前から、2~5年目の社員を対象としたより専門的なカリキュラム「匠塾」が開講されるようになった。人によって得意分野は違い、進み方も違うので、こちらはマンツーマンで行われる。最低1か月に1回、17時から19時の時間を使って、技術をもつ先輩が教える。一般的に製造業は育成に10年が必要と言われるが、こうした学習システムによって、同社では5年程度で一人前に育つ。今後は、匠塾で教わったことをまとめて教科書にしていく予定だ。この過程で同時に作業手順書もできる。

同社ではこの20年間、基本的に新卒を採用してきたが、現場の人がすべてを教えるのは大変なことだった。「技術だけを教えてもやめてしまう。もっと広く社会人とはということを教えなければならないが、現場の負担も大きくなる。会社としてシステム化しなければと思ったのが、学校を継続している理由」だと同社の山岸氏は言う。

ヤマギシテクニカルセンターで最初に学んだメンバーが7年目となり、会社の中核人材として活躍しはじめている。「みんなが成長していて嬉しい」と語る山岸氏自身は、現在英語によるプレゼン力の強化に取り組んでいる。今後、航空・宇宙・防衛の仕事を増やしていく上で必須とされる能力を、プロジェクトを組んで、皆で習得している。

株式会社山岸製作所

所在地

〒370-0081 群馬県高崎市浜川町590-23

TEL

027-360-4100

URL

http://www.yamagishi-ss.com/

E-mail

info@yamagishi-ss.com

設立

1962年

 

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