特集:ロボット・エンジニアリング

株式会社三松

株式会社三松

産業用ロボットの基礎講習を開講中

株式会社三松
上:プログラミングのトレーニングスクール
下:SMASHを使ったシミュレーション

同社のロボット事業は、10年ほど前に大手ロボットメーカーが主導した、大規模生産ラインの設計を事前にシミュレーション検証するプロジェクトにソフト開発会社として参画したことから始まる。

この設計3D-CADのカスタマイズソフトの開発を手伝ったことで、その後、他のロボットメーカーの商談用や教育用のデモ・ソフト開発から装置そのものの設計依頼が来るようになり、ソフトウエア開発から装置のSIerへと業容拡大した。また教育ソフト作成の縁から、三菱電機製と川崎重工業製の産業用ロボットのトレーニングコースの開催も受託している。

同社の生産品目は、半導体・液晶装置から一般機械、情報通信、食品厨房、家具備品、医療機器、環境エネルギー関連など多岐にわたるが、約4割が組立である。しかし、単なる組立だけでなく、自社加工工場を持つ強みを活かした部品内製化のハード面や制御データと機械・装置の稼働情報をPC上で分析・表示するソフト面までを設計できる点が特徴だ。特に、ロボットメーカーはロボット本体はわかっても周辺装置のことは苦手としている会社も多く、また先端のハンドは別メーカー品だったりと、一言でロボット導入と言っても、その溝を埋める役目を果たす存在が必要となる。そこで「ハードとソフトの両方」についてトータルの相談ができるのが同社の魅力だ。

バーチャルマシンシミュレーター「SMASH」

株式会社三松
プログラムで衝突があると赤く知らせる

SIerとして他社にない同社の強みが、バーチャルマシンシミュレーター「SMASH」だ。人間の代わりにロボットを導入しようとしたとき、まず問題になるのが、人よりもロボットの方が必要とする空間が広いということだ。ロボットには、交錯した動作があるときに、ぶつかりそうになると止まる機能はあるが、人のようにかわすことはできない。しかし、それではラインは止まってしまう。そこで、実機で動かす前に、SMASH上で動きをシミュレーションすることによって、動作の無理が確認でき、それによってプログラムを修正できるのは、直接的に作業効率の向上につながる。

これは、本番と同じプログラムをシミュレーション上で再現できる強みであり、ロボットと一緒に導入することによって、ユーザーが自社内でプログラムを学びながら改良していく可能性をもつ。通常の制御プログラムの練習では、決められた動きをトレースするだけだが、プログラムは用途や開発者によって千差万別なので、SMASH上で、安心して新しいプログラムを試すことができるのは、先々、ロボットを使いこなしていくことを考えると大きな魅力である。特に若手社員のモチベーションアップにも繋がるだろう。

また、うまく動かなかったときには、その状況を再現する必要が出てくるが、実機ではなかなか行いづらい。こうしたエラーの確認もできるほか、日本で立ち上げたラインを海外で使用するときなどに、データのやりとりだけで、何が起きているのかをその場に行かなくても検証することもできる。「ロボットはいま人間の約4割の能力だが、今後AIが発達すると、判断が必要な動作についてもできるようになる。こうした先のことを現在研究中」と、社長の田名部氏は目を輝かせる。

このほか、制御技術や各種医療機器の製造ノウハウの蓄積と生産体制の確立により、医療機器製造業の資格を取得。現在、九州大学との医工連携として「SMOVE」という手の指の動きを補助するロボットに関する多岐に渡った開発を進めている。

株式会社三松

所在地

住所: 〒818-0013 福岡県筑紫野市岡田3丁目10番9号(岡田工業団地内)

TEL

092-926-4711

URL

http://www.sanmatsu.com/

創業

1972年

エミダス会員番号

5215

 

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