特集:微細加工

「勝ち残りを目指して」微細加工工業会 設立

微細加工工業会

2018年11月16日(金)、「微細加工工業会設立総会 及び 設立祝賀会」を、富士ソフトアキバプラザにて開催。
約140名の製造業関係者が参加した。
設立総会では、活動方針や活動計画を発表。 基調講演では、ファナック株式会社 代表取締役会長 兼CEO 稲葉 善治氏が登壇し、「ファナックの超精密加工機~ロボナノの最新機種について~」というテーマで講演。
パネルディスカッションでは、微細加工工業会の幹事一同が日本の微細加工技術の展望について意見が交わされた。
設立祝賀会では、経済産業省 中小企業庁 次長 前田 泰宏氏、経済産業省 商務・サービスグループ 消費経済企画室長/物流企画室長 伊奈 友子氏も来席し、微細加工工業会第一期目を華々しくスタートした。

微細加工工業会とは

日本の製造業の強みは現場力であり、これを支えているのが地域の中小製造業だ。この現場力を最大限に活かし、厳しい国際競争に打ち勝つことができるのが、現在の製造業の技術体系の中で、「空白の技術領域」と言われている「0.001mm~1mm」の領域である。
本工業会は、この“微細加工”領域の素形材分野(素材、切削、金型、塑性加工、表面処理、組み立て、接合、3Dプリンティング、検査等)に強みを持つ企業が中心となり、新たな産業領域を切り拓く活動を行うために設立された。

主な活動

●会員企業と、大手製造メーカー、大学、研究機関等との情報交流会
●大学、研究機関と連携した技術課題コンテスト/微細加工技術コンテストの開催
●微細加工分野の展示会等への共同出展
●会員企業の情報発信、微細加工産業を支援する設備産業等の企業の情報発信
●国内外の業界団体、公的機関との連携による業界支援施策の創出 等

本工業会が想定する 微細加工領域

微細加工工業会

製造業において、作業対象となる物体を「見て」「自由に動かせる」ことは、作業上の必須要件である。逆に言うと対象物が「見えなくて」「自由に動かせない」状況では、通常の加工、組み立て等の製造作業は著しく困難になる。微細加工領域は、まさにこの通常の「(肉眼で)見て」「自由に動かせる」境界領域に位置する。

詳しくは「微細加工工業会」公式サイトへ

幹事企業のご紹介 2018年11月16日設立総会 パネルディスカッションより
日本企業の強みを一致団結して、世界にアピール。参加する各企業が、世界のオンリーワンを目指す

微細加工工業会

会長
株式会社キャステム 代表取締役社長 戸田拓夫氏

〒720-0004 広島県福山市御幸町中津原1808-1 TEL:084-955-7888

微細加工工業会

世界でここでしか作れない技術があれば、そういったものづくりの側に価格の決定権がうつります。弊社はそういった方面にこそ価値を見出しチャレンジを続けています。海外の企業も技術力があると言われているところの多くは日本の工作機を導入しています。これからはAI機能も組み込まれていくのだろうと思いますが、設備に頼るということだけであれば日本の優位性は守れないと思います。

中国では金型の学校も作り若い人材を育てています。日本にもあるのでしょうが規模は小さいです。更に若い世代のものづくりに対する興味も薄れています。日本の競争力が更に後退を続けることを懸念しています。しかしながらまだ優位性があるとしたら、顧客に寄り添うという、日本古来のおもてなしの精神のようなものではないでしょうか?

どういうものを作ったら良いのか、どういうアプローチをしたら良いか、アフターサービスはどうするか、といったものは簡単には追いつかれることはないでしょう。そういった日本の美点を持ちながら企業の垣根を越えて協力していこうというのが今回の微細加工工業会設立の意図です。

今、医療機器分野では世界のトップにたつ米国の企業もより緻密な加工技術を持っている企業を探しています。金型から部品製造まで一貫してできるチームがあれば共同で受注も可能でしょう。この工業会ではそれぞれに可能な範囲で技術を開示して頂くことにより、連携を組める企業も見つかりやすいですし、他社の技術も学びやすくなります。守りのみでは成長は無い。切磋琢磨して伸びていく工業会でありたいと考えます。

微細加工工業会

副会長
hakkai株式会社 代表取締役 関 聡彦氏

〒949-7312 新潟県南魚沼市九日町2845 TEL:025-777-2410

微細加工工業会

少し前までは、微細加工など必要ないとメーカー側から言われたこともありましたが、昨今はいろいろな部品で微細加工の要求が高まりました。しかし、微細という概念がきちんと共有されているかというと、まだ隔たりがあると思います。そこを整理していくのも必要とされるでしょう。

日本の製造業は、職人の腕に頼りがちで、技術は人に宿るという傾向が強く、これは技術の継承などさまざまなところで問題視されますが、逆に海外企業の場合は、3年くらいで人材が流動するために、こうした技術の蓄積ができません。つまり、これは日本の強みでもあり、弱みでもあります。

もちろん中国や韓国にも技術があります。これからますます国際競争力が求められる中で、外国のような国家レベルの保護や指針がない日本企業が、たった1社で立ち向かっていくのは無理なことなので、工業会という枠組みで提案力を作っていきたいと思います。

それに、私たちはいま、日本のものづくりはすごいと思っていますが、世界的に見ると、「メイド・イン・ジャパン」のブランド力はすでに落ちています。海外の小さい子どもたちが持っている物の中に日本製のものはあるでしょうか。「日本のものは高くても買いたい」と思ってもらうために完成品によるブランド化は重要です。こうした取り組みが業界全体の課題ではないかと思います。

ぜひ、こうした問題を一緒に乗り越えていくために協力していきましょう。

微細加工工業会

副会長
株式会社狭山金型製作所 代表取締役 大場 治氏

〒358-0014 埼玉県入間市宮寺756-4 TEL:04-2934-7683

微細加工工業会

昔は何でも作っていましたが、20年ほど前から微細加工にシフトして取り組んでいます。その一番の理由は、微細加工であれば、ある程度は自分たちで価格が決められるからです。常に最先端技術に挑むことの大切さを実感しています。

また、この最先端技術を求めているのは、日本企業とは限りません。当社の場合は、海外からの引き合いも多く、そうした取引先とは海外の展示会などで出会いました。日本人は、海外での営業が苦手というか下手なのですが、世界的に見て、日本企業の強みは、横の連携がとれインフラが整っている点にあると思います。

まず、日本人は工具を使いこなし、出来栄えを重視します。これは日本の大きな価値です。それでは、それを外国人に真似できるのかというと、確かに技術を教え込むことはできますが、例えば、その外国人が自国に帰って行ったとき、そこには日本のようなインフラがないので、日本と同じ品質を出すことはできません。日本は材料からあらゆる加工技術まで国レベルで横につながることができます。これは中国などにはない特色で、日本らしさが光る価値として海外にアピールできる部分です。

ただし、日本のこういった良さを発信することがどうしても日本人は下手で、営業力がありません。こうした1社ではできないようなことを、工業会を通じてみんなでやっていく。そして、やってよかったねとみんなで言えるところまで育てていきたいと思います。

微細加工工業会

幹事/会計監査役
株式会社ワークス 代表取締役 三重野 計滋氏

〒811-4321 福岡県遠賀郡遠賀町虫生津1445-1 TEL:093-291-1778

微細加工工業会

当社はレンズ金型などの超精密加工を行っております。しかし、加工技術に対する市場からの要求はますます高度化しています。ぜひ、新しい付加価値を作り上げていくという目的をもって、工業会で一緒にやっていけたらと思っています。

ものづくりの総合力は、日本が世界一と思います。しかし、小さな会社1社で、できることには限界があると思います。日本の微細加工企業が結集し、世界一の最先端加工が可能な集団を構築し、アジアの大国と差別化した技術集団を構築できればと思います。だから、日本は、世界の先頭を切って高い付加価値を生み出すことにもっと積極的にならないといけないのではないでしょうか。そのために、微細加工企業が集まり、協力パートナーシップの連携関係を構築していくための仕組みが必要ではないかと考えます。

これからは、今までできなかったことにチャレンジし、新たな付加価値を創造していく時代ではないでしょうか。まだ横のつながり十分とは言えませんが、中小企業同士がぜひ、力を結集して一緒に世界と戦っていきましょう。今までのものづくりの世界では、デジタル化が急速に進み、海外企業が日本の競合先になりつつあります。

日本の微細加工企業が持つ創造力と改善力を持ち寄り、今までにない大きなものづくり力を構築したいと考えています。日本が、自負しているほどアジアのものづくり大国のパワーとの差異はなくなっています。将来を考えるととても危ういと感じています。世界にガツンと日本の強さを知らしめる創造技術力集団を構築していきましょう。

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