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集積公差あれこれ
2007/08/08 06:44
こんにちは。
集積公差については過去にも幾度か議論が成されていますが、
もう少し詳しく知りたいと思っています。
以下の私の理解について間違いがあれば御教示下さい。
また新たな疑問についてもよろしくお願い致します。
1,集積公差は一般に分散の加法性を利用している。
この加法性は各々の寸法が正規分布するという前提で適用できる。
2.しかし、求めたい集積寸法 Z が独立な寸法 X1,X2,X3 で以下の式の
ように表せるとした時、
Z = ( X1 + X2 ) / X3
振り分け公差±?Z,±?Xi込みで書くと、
Z±?Z = ( X1±?X1 + X2±?X2 ) / X3±?X3
この式には商が入っているため集積公差は
?Z = √( ?X1^2 +?X2^2 +?X3^2 )
とはならない。
3.この場合の集積公差は、誤差伝播則で計算できる。
?Z^2 = √( ? (∂Z / ∂Xi・?Xi)^2 ) (参考URL参照)
4.と言うより、分散の加法性はそもそも誤差伝播則と同じことで、
単に加法性は和・差のケース(ex. Z=X1+X2)を取り上げている
だけである。
5.無論、誤差伝播則の「誤差」は正規分布することを前提としている
ので、誤差=公差が正規分布する前提でしか成立しない。
6.仮に上記の X2 のみが正規分布ではなく例えば一様分布であった場合、
同様に集積公差を求める手法がありますか。
つまり正規分布とそれ以外の既知の分布を組み合わせた寸法公差を
求めたい時、集積公差のような確率を加味した分布を求める方法が
あるのでしょうか。
以上、よろしくお願い致します。
誤差伝播
http://www.enveng.titech.ac.jp/morikawa/lecture/tottori/00sokuryo/node16.html
回答 (4件中 1~4件目)
こんばんは、ちょっと違うかもしれませんがコメントをさせていただきます。
ご質問者の方は、非常に正しく理解なさっていると思います。
2.のZ=。。。の式はモデル式です。
そうしたときに
3.の"∂Z/∂Xi"の部分は感度係数と呼ばれる部分で、XiがZに対してどのぐらい寄与するかを表します。ですので、モデルとなる計算式とそれぞれの誤差がわかっていれば、最終的にどの程度となるかがわかります。
4.の内容は、たまたま、感度係数が1の場合にあたります。
で、6.ですが、
正規分布の場合、分布幅が2aとすると、a (正確には1.033a)
を用います。これは、正規分布を仮定したときこの分布幅2aの中に
2/3の事象(~67%)が含まれるとして計算します。
他の分布の場合も、2/3(67%)を与える幅はいくつだろうと考えますと
一様分布の場合、分布幅が2aとすると、a/√3
三角分布の場合、分布幅(三角形の底辺の長さ)が2aとすると、a/√6
台形分布の場合、台形(上辺の長さが2βa、底辺の長さが2a)とすると
a√(1+β^2)/√6
などとして計算されています。長くなりましたが、
例えば、本では
規格協会の「計測における不確かさの表現のガイド」等が参考になるかと思います。
1. 誤差伝播則の形式で求めることができるか。
厳密にはできないと思います。回答2の方のように考えていくしかありませんが、現実問題として数種の分布が混じりあった場合でも正規分布に近くなっているようです。ただ場合によると思います。例えば一様分布の誤差が最終的な誤差に関して支配的であるならば、正規分布とはならず、ほぼその分布の形に支配されるでしょう。-ですからまずは誤差伝播則の形で計算してみて、どれが支配的なのかを見る。支配的なパラメータがわかればそれを小さくするように努力する。といった形が現実的な回答かと思います。
2. 上記で最終的に正規分布であると仮定した時点で、それは成り立つこととなります(それを含めて受け入れている)。
ですから上記ででてきた誤差に、2をかけると2σ(=95%)信頼確率。逆に言えば最終交差?Zに対して、出てきた誤差で割ると、何σぐらいかが計算できますので、不良率(正式かどうかはわかりませんが?)のようなものが計算できるかと思います。
○蛇足、今2乗和で計算されていますが、これは各々が独立で、相関が無い場合に成り立ちます。例えば2枚の板を組み合わせてある厚みにしたい場合には、それぞれの誤差を2乗和し1/2乗するのでは無く、誤差は足し算になってしまいます。こういった相関も、考えていかないと単純に2乗和の誤差伝播則で計算して良いのかはわかりません。私は良くわかりませんが、品質工学の本などにはこういったことが記載されているかと思います。
補足
2007/08/11 19:39
御丁寧な回答、ありがとうございます。
実は私は機械設計者でして、まずは机上で設計に基づく集積公差が
最終的にどの程度になるのかを推測し、発生確率を基にして要求
スペックに合致するかどうかを判定する必要があります。
既述のように、時として正規分布にならないもので集積公差を計算する
必要に迫られる時がありますが、その場合に集積公差による発生確率を
どのように考えるべきか、というのが主題です、
従って疑問となるのは、例えばモデル式 Z = ( X1 + X2 ) / X3 で、
仮に、 X1 : 正規分布 X2 : 一様分布 X3 : 三角分布 として、
1.このような様々な分布が混じり合った集積公差を誤差伝播則の形式で
求めることができるか?
2.求めることが可能とした場合、その確率分布はどうなるか?
上のモデル式の場合にそれぞれの分布で67%になる公差、つまり
?X1 : ±σ ?X2 : ±σ/√3 ?X3 : σ/√6
として誤差伝播式で求めた公差?Zは、やはり67%の確率で発生すると
考えて良いか?
という2点に絞られます。
御回答いただけるようでしたら幸いです。
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この質問は投稿から一年以上経過しています。
解決しない場合、新しい質問の投稿をおすすめします。
解答ありがとうございました
ボールシート弁とは何か
参考までに具体的にどんな構造からどんな式が出来るか教えていただければ幸いです
補足
2007/08/11 18:55
ボール・シート弁とは以下のような構造を指しています。
http://mori.nc-net.or.jp/EokpControl?site=default&event=ZE0002&tid=151729
このボールの開弁圧は「ばね力」を「ボールがシート面(すり鉢状のBody部)に接触している面積」で割ることによって求められます。
数学的には分布関数を組み合わせたコンボリューション積分にて 分布関数を求められますが、実用的には(品質管理ツールとしては)管理現場がついてきてくれないので、うまくいきませんでした。式は式として 管理しやすいかどうかまで咀嚼してあげてくださいね。
ここは理論的なことを勉強するには不向きですので、(というより、僕は先生ではないので)どれが正しいともいえません。
要は、生産工程に役立てば使えるということですので、精確でなくても回答が出れば、間違っていても回答なしよりは役立つといえるのではないでしょうか。(まあいいかということ)しかし5は 誤解というか、必ずしも正規分布でなくても成立する事もあると思います。
説明が足りませんでした。公差は設計者がいとてきにきめるもので、誤差は事実として観測されたものです。 公差=誤差にはなりませんし、こう表現することは、傲慢です。
設計経験からいうと、要求スペックは製造工程からではなくて、性能要求で独立に与えられます。これに対して、工程に公差を割り付けるわけですから、目的は工程に公差を受け入れてもらうことです。
特に工程が人による調整のばあいは、正規分布は期待できません。
すべて機械化した工程では 正規分布に近づきますが、機械加工工程などでも正規分布は期待できません。つまり、正規分布を仮定することは設計者として大きな誤りといえます。また誤差伝播則を適用することも 弊害が多くおすすめできません。工程ごとの現実の偏りをよくみて、感度分析をしつつ、組み合わせで 分布を改善することを工夫すべきです。
この手法は田口メソッドなどで開発されております。
総合的な模範解答を求めず、現場データを積み上げて手探り 行き当りバッタリでやるほうが 現場では受け入れてくれるようです。理論式の説明は
反感を買ってしまったりしますよ。
お礼
2007/08/08 12:53
コンボリューション積分ですか。
調べてみます。
ちなみに1~5までの認識は正しいでしょうか?
ありがとうございました。
公差=誤差という表現はまずかったですね。
公差は基本的に人為的なものであり、もちろんその分布も人為的な管理に
よって変わることは重々承知してます。
主たる意図は、公差が正規分布するとした場合に誤差伝播則を適用できるか、
もし正規分布しない場合に他の推定法があるか、ということにありました。
ありがとうございました。
もちろん理論式を振りかざすつもりはありません。
理論は所詮理論に過ぎませんので、現実と合致することが重要です。
わからないものは安全側に振って、つまり今回の場合で言えば積み上げ公差を採用すればいいのですが、私は機能損失による危険度(FMEAで言うところのseverity)が低い場合は過去の経験や類似部品等から分布を推定し、累積公差の考え方を適用してもよいのではないかと考えています。
タグチメッソドの件はオンラインのことだと思いますが、私は設計サイドなのでオフラインはかじっていますが、オンラインはあまり知識がありません。一度、深く入ってみたいと思います。
ありがとうございました。
この質問に質問があります
寸法の累積公差の式の中に
割り算が出てくるのはどのような場面ですか?
小生には考えられません
教えてください
補足
2007/08/08 12:49
例えば単純なボール・シート弁の開弁圧計算などです。
記述の式よりは複雑になりますが。
お礼
2007/08/17 15:59
了解しました。
過去ログにもありましたが、積み上げ公差が安全サイドである、というのは論を待たないと思っています。しかし一方でコスト低減の要求もあるのでどこが落としどころか正直悩ましいところです。
1つの考え方が下に書いたように故障モードのseverityや工程・市場での検出度と過去実績を基準にすることだと思っています。
この設問をした目的である分布伝播の考え方についてはかなり知り得ました。この公差計算手段をどのようなケースに活用すべきかという問題は経験にも基づく固有の考え方になりそうなので、次のステップにしたいと思います。
ありがとうございました。