第6回 三和メッキ工業 株式会社

三和メッキ工業 株式会社 専務取締役 清水 栄次 氏 専務取締役 清水 栄次 氏

三和メッキ工業 株式会社

所在地

福井県福井市

TEL

0776-23-1639

FAX

0776-27-4726

担当者

専務取締役 清水 栄次

事業内容

アルマイト(硬質、テフロン、着色)・硬質クロム・無電解ニッケル(テフロン)

継続は力なり

「ネット受注を獲得するためには、どのようなホームページが理想的なのか?」
NCネットワークでは、昨年から「エミダスホームページ大賞」を開催し、製造業のネット営業力向上のガイドラインとなるホームページを選定・表彰することで、この問いに答えようとしている。今回のEMIDASスタイルは、昨年のホームページ大賞で「技術コンテンツ賞」を受賞した三和メッキ工業を取材した。圧倒的な情報量を誇るホームページの陰には、担当者のIT活用に懸ける情熱と、自社の加工技術への揺るぎない自信があった。

三和メッキ工業は、福井県福井市でめっき加工を手がける、社員26名の会社だ。
硬質クロム・無電解ニッケル等の加工から、1~10μmの微粒子に厚さ10nm(ナノ)のめっきを施すという困難な加工まで、ありとあらゆるめっき加工に挑戦している。

三和メッキ工業の品質方針では、次の3つの目標を掲げている。

  • 1顧客の期待・ニーズにあった「めっき」を提供する。
  • 2新しいめっき技術を開発し、顧客の満足を得る。
  • 3個人の能力を最大限に発揮する。

言い換えれば、未知の技術に全力で挑戦し顧客の期待に応えること、それが三和メッキ工業の信条なのである。

今回お話を伺ったのは、常務取締役・清水栄次さん。清水さんは、20代前半に製造業とは全く関係のない業界の営業職を経て、父親が経営する三和メッキ工業に入社した。
現場を経験しながら、めっきの知識をみっちり叩き込まれ、現在は営業担当として、対外的な業務は全て任されている。
営業活動以外にも、ISO9001および14001の取得や、自社ホームページの企画運営にも挑戦し、その能力を最大限に発揮している。

三和めっきのホームページは、昨年のNCネットワーク主催「エミダスホームページ大賞」で、見事「技術コンテンツ賞」を獲得した。

三和メッキ工業がホームページを開設したのは、2000年。開設後、ホームページを通じて和歌山県の企業から仕事が舞い込んだが、それが本格的に取り組むきっかけとはならなかった。当時はインターネットの可能性について深く考えておらず、ホームページもあればそれでよいという認識だったのだ。
また、社長もパソコンやインターネットなどの、いわゆるIT活用には無関心だった。ある日パソコンに向かい、見積やISO取得に必要なマニュアルを作成していると、「みんなが汗をかいて働いているのに、なぜおまえは座ってばかりいるんだ!」と怒鳴られてしまった。

それでも清水さんは、この苦況に打ち勝つには、製造現場の知識だけではなく、ITの活用も必要であると考え、様々なセミナーやイベントに足を運び情報を集めた。また、自ら会長を務める福井県機械工業青年会でも、IT活用を促進したいと考え、福井商工会議所と共同で「吉田健治IT塾」の開講を実現した。

昨年の2月のIT塾では、NCネットワークの内原がゲストとして、インターネット活用事例をテーマに講演をさせていただいた。内原が語る各社のネット受注成功事例を聞いた清水さんは、これまでほとんど手つかずだった自社のホームページが気になりだした。セミナーの後、ホームページへのアクセス実績を調べてみた。すると約2,000件のアクセスがあることがわかった。この数字を見た清水さんは、インターネットというツールに、自社を大きく変える可能性があると感じた。

清水さんは、すぐにホームページへのアクセスを増やすために努力を始めた。まず、他のポータルサイトへの登録や、ホームページを持つ取引先に自社ホームページとの相互リンクを依頼した。今最も使われている検索サイト「Google」の検索結果の順位は、他の優良ページからより多くリンクが張られているページが上位に来るからだ。Googleで「めっき」または「メッキ」で検索すると、常に上位に三和メッキ工業がヒットするのは、こうした陰の努力によるものである。

同時に、自社ホームページのコンテンツとして、めっきに関する知識情報を集めて掲載した。めっきのことで困った時は、ここにアクセスすれば解決するという印象を与えるためだ。「エミダスホームページ大賞」でも、めっき情報の充実ぶりが全ての審査員から高く評価された。

清水さんが大切にしていることがもう一つある。あらゆる問い合わせを正面から受け止め、誠心誠意対応することである。インターネットを通じて来る問い合わせは多種多様だ。個人のお客さんからは、万年筆の塗装がはがれたのでめっきしてくれないかとか、車やバイクが好きな方からパーツのメッキを依頼されることも少なくない。清水さんは、このような小さな問い合わせにも一つ一つ丁寧に答える。なぜなら、そこに新たな技術との出会いがあると考えているからだ。

これまで見てきた三和メッキ工業のインターネットへの取り組みは、短期間で成果に結びつくものではない。顧客の悩みを一つ一つ解決することが、三和メッキ工業の名前を相手の記憶に残し、次の営業につながる。蒔いた種が、時間をかけて開き始めるまで、あきらめずにコツコツと努力を続けていくのだ。まさに「継続は力なり」である。

現在、三和メッキ工業のホームページのアクセス件数は、一日平均593件。ホームページ経由での昨年度の受注額は、総売上の4%まで増加した。三和メッキ工業にとって、もはやインターネットは欠かせない営業ツールになったと、清水さんは認識している。

数多くめっきの会社のホームページがある中で、なぜ三和メッキ工業が選ばれるか、その理由を清水さんに聞いた。

「セールスポイントとして『できないものはない』を掲げているからではないでしょうか。」

単に仕事が欲しいのではない。新しい技術に挑戦したいという熱意と、成し遂げる自信が背景にあるからこそ言える言葉である。

清水さんがホームページについて考える時のポイントは一つ、「お客さんは何を求めてこのホームページにやって来るのか」である。その答えを探して、今日も新たな挑戦を続けている。

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