あなたの会社は何を目指しているのですか?

システム構築研修の最初の段階で、研修の参加者に対して、このような質問を行うセッションがあります。
「 あなたの会社は何を目指しているのですか?」 という質問です。

ようするに、今の会社はどのような方向 ( それは例えば目標、ゴール、到達点 ) に進んでいこうとしているのかが分かれば、それを実現するために必要となる 「 負荷=課題 が何か見えてきます。

その 「 負荷=課題 」 になる部分を システム化 して解決していけば良いわけで、そのための『 仕組みづくり 』がこの研修のメインディッシュなわけなのですが、その最初の質問において、なかなか皆さん答えに窮されてしまうわけです。

これは、参加者がこうした会社のテーマを考える必要のない中間層であるとか、若手社員だからだと言われるかもしれませんが、実際のところ、この研修では経営者の方々 ( 例えば役員のみ ) を対象とした研修も行っており、こうした場においても同じように答えが出ないのです。

それどころか、当の代表取締役の方々でも、スムーズには出ないんです。
中には、経営理念というカタチで答えられる方もおられますし、中期経営計画みたいなものを出してこられ、その計画表を示していただきながら「 こういう風に取り組んでおります」 という答えをいただく場合もあります。

ただ、そういった場合に聞く内容は、いずれの場合も分りにくく、単なるお題目だと見えてしまいます。
それは、研修で行っていかなければならない 「 システム化 」 の視点で見ると良く分かるのです。

『 当社の目的は、○○○の領域において、確かな品質ある製品を作り続けることによって、顧客をはじめ、取引き先との信頼関係を強固にし、オンリーワンの地位を築くことにある。』

よくある企業目標のような、スローガンのような、理念のようなものです。

上記のフレーズが、もし企業の目指すものであったならば、それを実現するにあたっての課題は何でしょうか?

「 品質を守り続けること」 …まず見えてくるのはその言葉ですが、それが課題であるならば、会社が構築しなければならない 「 システム化 」 は、“ 品質を保持し続ける仕組み ” であることになります。

そのような仕組みづくりは、今までもやってこられているはずですし、それをやったからと言って、業界のオンリーワン企業になれるなんて全くでたらめな話です。

顧客がいつまでも品質オンリーの買い物をしてくれているという考えも、時代錯誤です。
現に、国産品に比較して、1 / 10 ほどの値段で入ってくる東南アジア生産品にシェアを奪われつつ、彼らの品質ではまだ日本に追いついていないと豪語しつつも、その声もしだいに弱くなってきている昨今なのですから…。

このセッションを繰り返す中で私が感じたことは、この 「 目指すもの 」 の答えが 不明確 で、システム化しようとしても困難を極めるばかりの会社は、一様に経営者はもちろん、社員の一人ひとりが先の見えない状況に陥っており、たとえそれが一見は元気なように見えても、本音のところでは不安感に苛(さいな)まれている ということでした。

そうした会社にも、不安に苛まれていない経営幹部の方や、社員もいます。
ただし、そうした方々は、次の2パターンのうちのいずれかです。1つは、自分の仕事の中に、会社はどうであろうとも単純に自分の喜びの仕組みがあり、それへ没頭しているだけでそれ以上のことは考えようとしない人( 我流、俗人的ビジネスマンに多いタイプ ) 。
2つ目は、不安なことなど考えないことにしている人 ( 考え出すと不安だから、あえて考えないようにしている積極的な消極人材。若手~熟年を問わず多い ) 。

そうして、ある程度不安に苛まれている経営幹部の方や中間管理職の方々は、その不安払拭のための行動をとろうとしているのですが、実際のところ、落とし込むシステム化が見えない ため、おろおろしてもっともらしいことを発言したり、行動したりしつつも、何の仕組みにもなっていないことを繰り返すばかりになっています。

その 「 おろおろ行動 」 を、社長が率先して行ってしまっている というのが現在の中小企業経営の現状です。
そして、その最大の要因は、 「 会社が目指すもの 」 が 明確 でなく、社長にしてもそれを打ち出せていない からなのです。

チェックポイント!

あなたの会社の 「 目指すもの 」 は何ですか?

システム化とは、課題点に対してそれを改善していくための仕組みの構築です。すなわち、会社のシステム化を考えるにあたっては、会社が何を目指すのか、何を目標にしているのかに基き、それを実現させるために目下障害となる 「 課題 」 を考えていくことから始まります。
ところが、システム構築の実際の研修で最初に気づいたことは、この 「 会社が 目指すもの 」 があまりにも不明確であることでした。

皆さんの会社の 「 目指すもの 」 とは何ですか、一度深く考えてみてください。

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