第2回 敵(ライバル)を知る

世界に向けて

昨年の本田技研工業の2輪車製造台数は、約2000万台である。
そのうち、日本で製造しているのは僅か2%。40万台。
その理由は、ホンダのバイクを買っているのは日本人でなく、アジア圏(タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、インド、マレーシア)、北米、南米(米国、カナダ、メキシコ、ブラジル)、欧州圏(フランス、ドイツ、イタリア、イギリス)、世界各国でホンダのバイクが愛されているのだ。

1980年代の対米輸出摩擦から、日本製造業では輸出から現地生産化が進むこととなった。

日系の工場は中国だけでなく世界中にある。
つまり生産の現地化は、安く製品をつくることも理由にあるが、消費地でものづくりをするという考え方から来ているのだ。

我々、日本の製造メーカーは、この現実から逃避は出来ない。
つまり、日本の製造技術は世界に必要とされ、世界に愛されるのだ。

中国敵視論が多い中で、もはや、中国を敵視している余裕はない。
世界現地生産化に向けて、日本でつくらなければならないモノづくりについて我々は議論するべきである。

我々、日本人が得意とするのは、生産技術のカイゼン力だと言って過言でない。
生産技術=金型、工作機械、ロボット、等を利用しながら、モノづくりの効率化を図り、安く、早く、品質の高いモノづくりを標準化することだ。

この生産技術力こそが、我々、日本人が戦後培ってきた力である。
日本の金型技術力を見てみよ。
日本の工作機械の技術力を見てみよ。
日本の材料の精度、品質を見てみよ。
日本の現場のカイゼン力を見てみよ。
日本の納期、品質、コストに対するこだわりは、世界随一だ。

この生産技術力こそが、われわれ日本人が誇るべきモノづくり力なのである。

敵(ライバル)は誰か?

仮想敵をつくり、成長するのが人間だ。
野球少年であれば、小学校の時、中学校の時、高校生の時、ライバルとなる自分より優れた人を尊敬し、追い越し、トップを目指す。しかし、本当の敵(ライバル)は誰か?

自分自身が一番の敵(ライバル)なのだ。

自分自身が世界で一番強いと思った瞬間に、自分は抜かれる存在になる。
だから、常に人は自分が成長するために謙遜し、勉強し、さらに強い存在を目指す。

多くの金型屋さんや機械加工屋さんにお逢いする機会が多いが、この企業はかつて凄かったんだろうなぁ、という企業がたくさんある。
しかし、すでに過去の栄光で生きているのだ。
ある時期には、日本でトップの技術があったかもしれない。
しかし、すぐに後輩(世界各国)が追いついて来るにも関わらず、後輩(社員)の育成が出来ていない。
自分の中にある驕りの心を自制し、謙虚に、そして、常に前向きに進むことこそが、自分の中に潜む敵(ライバル)を倒す唯一の方法なのだ。

日本の製造技術には終わりはない。
オリンピックが終わったら、次のオリンピックに備え、次の金メダル選手を育てるのが製造業の経営者の役割だ。
これまでの日本は、世界製造業の中でのオリンピックがあるとすれば、金メダル選手だらけの国だった。
しかし、中国も、韓国も、台湾も頑張っている。
これから、インドやブラジルも出て来る。
常に敵(ライバル)の動向を見ながら、自分を鍛え上げる。
それが出来る企業こそが次世代も生き残ることが出来るのだ。

日本国内の同業者がどの程度のものなのか?
これは、もはやエミダス工場検索がある以上は、推定が出来るし、実際に訪問してもいいじゃぁないですか?

もう、日本国内の同業者が競いあう時代は、とっくに終わっている。
工場もお互い見せて、それから何が出来るかを問うたほうがいいのだ。
これぞ、ネットワーク。
NCネットワークの設立時から、現在まで変わらぬ理念の一つが、お互いの設備の有効活用だ。

空いている設備があれば、無理して買わなくても、ネットワークを最大限に利用するべき時代だ。

第2回 まとめ

自分の会社の魅力を知る!

そして、魅力を訴える!

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