第5回 機械加工屋さんのNCネットワーク利用方法 ①

NCネットワークを利用していただくために、エミダス工場検索、技術の森の2大コンテンツがある。
第1~4回に関しては、NCネットワークを利用するための心構えおよび、製造業根性論を展開してきた。
第5回からは、具体的に製造業の立場にたって、どう利用していくかを考える。

機械加工という業種は、NCネットワークの中心をなす業種となっている。
その理由は、単純明快。機械加工こそが、すべての業種の始まりなのだ。

丸を削る、角を削る

すべてのものづくりは丸を、削ること、角を削ること。
この2つの視点から始まる。

茨城県常陸大宮市の「野上技研」野上社長は、「限りなく平行直角」を理念として、研削、研磨技術で突出した技術力を持つ。

同じく茨城県 ひたちなか市の「川崎製作所」川崎社長は、「丸いものは限りなく丸く」という理念を打ち出し、真円度にこだわる。

日本中には、同じように、この丸と角を削ることにおいて他者の追随を許さないメーカーが数多く存在する。

僕が文科省の教育プログラムを担当するなら、技術の授業は、まずこの丸を削ることと、角を削ることを徹底的に教えるだろう。
この基本を教えず、本棚をつくろうが、簡単な積み木を作ろうとしても、まず綺麗には出来ないはずだ。

機械加工屋さんにも様々な種類が大きく分けると、旋盤屋、マシニング(フライス)屋がある。
丸が得意か、角が得意か、ということだ。

その後、お客様の要望により丸も角も削り、さらに、研磨、熱処理、塗装等もやります、という加工屋さんも多い。
しかし、一番得意な分野は何か?と問うと、「丸か」、「角が」得意という機械加工屋が多いのは何か意味深いものがある。

メーカーのものづくり(ホンダ・SONYなど)は、世の中に必要な商品をつくるところから始まるが、中小製造業のものづくりは、メーカーのニーズからスタートしている。
メーカーが要望する高品位で早く安価なものづくり。これを達成するために機械加工技術があるわけだ。

たかが削り、されど削り・・・

すべてのものづくりは削ることから始まるのだ~と、まずは自分を高めて欲しい。
自分がやっている削るという仕事に誇りを持つ。

ここから、すべてが始まる。

第1回でも述べたが、社長がこの業界で食っていきたいのであれば、親から譲り受けた会社であろうが、食うために入った業界であろうが、まずは誇りを持つことだ。
だって、凄いことだぜ、鉄を削り精度を出し、それがあらゆる産業界に利用されるのだ。

機械加工屋さんが削って利用される業界は、ざっと下記の通り。

農業、農機具、漁業、造船、食品、鉄道、建材、建築、建設、自動車、工作機械、航空、宇宙、金融・・・

おーっ、言うまでもないが、すべての産業に最初に利用されるのが削り業界だ。

その後、大量になる時には、鍛造、鋳造、プレス、金型、成形など各部品製造業界の技術が必要だが、それらの業界もすべて、機械加工屋さんの力が必要だ。

うわぁー、すげぇ、機械加工屋。

丸を削り、角を削り、組み合わせる。

ただ、それだけ。

しかし、その高精度、組合せ力、ねじをつくったり、ばねをつくったり、半導体製造装置をつくったり、ありとあらゆる場で利用されるのが機械加工の力である。

日本のものづくり力の基礎になるのが機械加工という業種である。

機械加工屋の種類

機械加工にも様々な業種が存在する。
大きく分けると次の6種類だ。

① 系列メーカー特化型機械加工メーカー
特定のメーカーからの依頼が多く、自動機と汎用機を組合せ一定の品質基準を守りながら製品を作り出している
② 特化技術系機械加工メーカー
ある特殊な技術、および自動機等を開発し、多くの製品メーカーに特定の形状を納めている
③ 設備、自動機系機械加工メーカー
機械加工設備も多数有しているが、自動機、設備用機械、ライン等をつくることを主として付加価値を出している
④ 試作系機械加工メーカー
試作を中心に小ロットを受けている
⑤ 研削系機械機械加工メーカー
機械加工ではあるが、研削を得意とすることで精度をあげることに特化している
⑥ 汎用系機械加工メーカー
試作、量産問わず、汎用機械を多数、有している

①、②、③は100人以上の機械加工メーカーであることが多く、④、⑤、⑥は100人以下の場合が多い。
この分類は、試作系、少量中量量産系、大量量産系、独立系と分類することも出来る

また、上記を組み合わせて、得意ジャンルを打ち出している機械加工メーカーも多い。

会社情報の登録の仕方

基本情報だが、加工分野、貢献している業界、素材の範囲、企業の特徴、CAD/CAM情報など、単純に登録してほしい。

お客様が最初に見るのは、この基本情報だ。
基本情報がキチンと書けてなければ、お客様はすぐ次の会社の検索に行く。

隣のラーメン屋に客を取られちゃう。
隣のラーメン屋はディスプレイが綺麗で入りやすい。
うちのラーメン屋は汚くて入りずらい。
うちのラーメン屋が本当は美味いけど・・・。

でも、隣のラーメン屋も味を研究してまっせ。
お客さんがどんどん入ると技術があがって美味しくなるかもね。

会社情報の登録の仕方に戻る。

発注元のメーカーさんが、御社を探しに来る時は、急いでいる場合が多い。もちろん暇でネットを眺めている方もいると思うがこういう方からは発注は来ない。

急いで探しているから発注の可能性があるわけだ。

既存の協力企業が品質が足りない
2ヶ所以上の場所で協力企業を探したい
緊急でつくりたい
既存の協力企業が忙しくて手一杯
既存の協力企業ではない技術を探している

etc・・・ネットで検索をかける場合は、上記の理由が多い。

そして、上記の場合はすぐ成約するケースが多い。

そのための手法は、単純明快に自分の会社のPRをすることである。
美辞麗句、誇張装飾、誇大広告は厳禁だ。

製造業は品質第一の業種であるから、自分が出来ることを簡単に書くことが重要である。

機械加工屋はNCをこうして、利用してくれ!

ホームページ・動画制作サービス

この講座は、もちろんNCネットワークを利用していただくためのものであるが、前4回で繰り返したように最低限必要なツールはホームページと動画だ!

ホームページが重要だということは、何度も申し上げている。
僕が言うと営業になるが、そのとおりなので仕方ない。

今、世の中で新しい取引が起きる前には、必ず、貴社のホームページを見る。
そのためのホームページだ。
第3者に分かりやすく、つくるのがNCネットワークのエミダス事業部である。
(これを読んでわからない人は、すぐにNCネットワーク・エミダス事業部 金澤、斉藤、大塚まで電話くれ!)

日本の製造業に発注する人は下記だ!

  • 大手メーカー
  • 農機具、漁業用器具、造船、文具、食品、建材、小道具、遊具、建築、工作機械等、機械、機具メーカーetc
  • 商社
  • 仲間取引

多くは上記に分類される。
大学、ベンチャー企業、素人等もたまに発注が来るが、金額は少ないことが多いが、無視はできない。

もし、あなたが発注担当だったとしよう。
発注担当者は困っている。

  • 安いメーカーを探したい
  • 現状のメーカーがどうもつぶれそうなので、2社購買したい。
  • 新素材を削るメーカーを探したい
  • 製作法案を検討しているので一緒に考えてくれるメーカーを探したい
  • 中国に移管するまでの間、供給してくれるメーカーを探したい

メーカー様はわがままなのだ。
そのわがままな要求に応えなくてはいけない。

上記 ①~③のメーカーは、常に④~⑥の協力が必要である。
④~⑥のメーカーは、メーカーからの問い合わせも必要だが、仲間取引も重要だ。

いろいろな企業が機械加工屋さんに発注したいのだ。
また、機械加工屋は、板金、鍍金、熱処理業界等との連携も重要だ。

「削ってください」と言うお客様は稀だ。

この製品が欲しい。そのための部品を削るのが機械加工屋の使命である。

関連項目

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