第14回 小規模企業設備貸与制度-資金調達

会社設立後間もない場合、設備投資意欲があったとしても金融機関から必要な融資を受けることが困難な場合が多いです。中小企業の育成は、日本にとって重要であるため、設備導入を行う小規模企業者等は、都道府県中小企業支援センターから有利な条件で割賦販売やリース制度ができる制度があります。

第13回(小規模企業設備資金貸付制度-資金調達)が設備資金の融資であるのに対し、本制度は設備自体の貸与という点で相違がありますが、小規模企業者等の設備導入支援の観点では、同様の制度と言えます。

1. 対象者(第13回の対象者と同一です)

(ア) 常時使用する従業員数が20人(商業・サービス業は5人)以下の小規模企業者
(イ) 常時使用する従業員50人以下の会社及び個人((ア)の企業者を除く。)の内、次の要件を満たす者
① 銀行法第2条1項に規定する銀行(信用金庫、信用組合、農協、漁協を除く)、株式会社日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫にかかる資金を除く)、株式会社商工組合中央金庫及び株式会社日本政策投資期銀行からの借入金残高が3億円以下であること。
→いわゆる銀行からの借入金残高が3億円以下であること。
② 直近3事業年度の経常利益の平均額が3,500万円以下であること。
③ 大企業からの出資等の割合が単独で3分の1を超えていないこと。
(ウ) 1ヶ月以内に創業(会社を設立する場合は2ヶ月以内に設立)する方、創業後5年以内の方で(ア)又は(イ)に該当する方

2. 支援内容

(ア) 貸与対象設備(第13回の貸付対象設備と同一です。)
貸与対象設備は、以下の設備です。ただし、土地及び建物(小売業等の店舗の内装工事及び外装工事を除く)、賃貸用の物品等その他特別の理由により対象とすることが適当でないと都道府県知事が認める設備は対象となりません。
① 創業者が事業を行うために必要な設備
② 小規模企業者等が経営基盤を強化するために導入する設備であって、次のいずれかに該当するもの
a) 導入により、企業の付加価値又は従業員一人当たりの付加価値額が一定以上(5年間で10%以上)向上すると見込まれる設備
b) 公害防止等設備として定められている設備
(イ) 貸与設備限度額
6,000万円
ただし、創業後1年未満の創業者は3,000万円
(ウ) 割賦金利・リース料等
割賦金利・リース料等は以下のようになりますが、具体的な金利等は、問い合わせ先でご確認下さい。
① 割賦販売
実質金利3%以下、保証金10%以下
② リース
貸与設備の購入価格に対して月額リース料率を乗じた金額を支払うことになります。(3年リース:約3.0%、5年リース:約1.8%)
(エ) 割賦・リース期間
① 割賦販売
7年以内(公害防止施設は12年以内)
据置期間1年以内の年賦、半年賦又は月賦の均等償還
② リース
原則3年以上7年以内の範囲で貸与設備の耐用年数により定められることとなります。
(オ) 担保又は保証人
原則として保証人が必要となり、場合によっては担保が必要となることもあります。(第13回よりも担保・保証人条件が緩和されています。)

3. 利用方法

(ア) 都道府県中小企業支援センター宛に貸与の申込みを行います。
(イ) 都道府県中小企業支援センターが、書類調査、企業診断等を行います。
(ウ) 貸与審査を経て、貸与内定を通知します。
(エ) 売買契約予備折衝を経て、貸与が決定します。
(オ) 売買契約を締結して、貸与設備を研修します。

4. 問い合わせ先

・都道府県中小企業支援センター(各都道府県にあります)
・(財)全国中小企業取引振興協会
 電話:03-5541-6688
 HP:http://www.zenkyo.or.jp/
(本事業を実施していない都道府県がありますので、お問い合わせ下さい。)

執筆者紹介
大井 宏明(おおいひろあき)

株式会社ルーキー
代表取締役社長

公認会計士。慶應義塾大学経済学部卒業。1999年から監査法人トーマツにてベンチャー企業の株式公開支援業務、法定監査業務、その他各種コンサルティング業務に従事。2005年末に監査法人トーマツ退社後、2006年初から上場準備企業の取締役CFOに就任し、上場準備業務の統括責任者となる。2008年株式会社ルーキーを設立、代表取締役社長に就任。経営戦略立案や社内体制整備等の各種コンサルティング業務を実施している。
株式会社ルーキーホームページ:http://rookie-japan.com

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