【第3回講座】「品質保証システム」の構築

第3回目のテーマは「品質保証システム」の構築について、そのポイントをお届けします。

現状のシステム(仕組み)で要求項目の7割は応えている

およそ製品/サービスの継続的な提供を目指すところに、品質を意識しない行為は存在しません。
弊社は今までに100社あまりISO9000認証取得のための「品質システム構築」のお手伝いをしてきましたが、レベルの差こそあるもののどの事業体にも品質を管理する仕組みは存在し、その仕組みはISOの要求項目の7割に応えているものでした。ということは、現状の仕組みにあと少し手を加えるだけで良いのです。

Whatが述べられているが、Howに関する事項は述べられていない

ところで、ISO9000は製品を購入する立場から、あるいはサービスの提供を受ける立場から、「こういう品質システムであって欲しい」との要求事項が20個規定されています。そこには「何をなすべきか(What)」については明確に規定されていますが、「それをどのように行うか(How)」については規定されていません。
これは、「What(要求項目)への対応は、企業それぞれのHow(やり方)で決めて良いですよ」と言っているのであって、「品質を保証するために複雑な業務手順を新たに作りなさい」と言っているのではないのです。
現状の仕組みで要求項目に応えられるものは、それを活用することが一番実効的なシステム作りとなります。

2本立ての仕組み作りが招く社内の混乱

ところが、ISOの認証取得活動に取り組むに当って、20個の要求項目に応える事に集中するあまり、「現状の仕組み」とは別の「ISO用の仕組み」作りを行ってしまうケースがよく見られます。
これは、会計上の2重帳簿を作成するようなもので、業務を2本立てで遂行せざるを得なくなり、社内の混乱を招き、「ISOなんてやらなければ良かった」という不満だけが残る結果となります。

システムの改善・向上は運用しながら

従って、最初から管理レベルの高いシステムを構築するのではなく、ISOの要求項目に対して、現状行っている仕組みを充分に活用し、行っていない要求についてはどのような仕組みにするのかを検討する。こうした方針でシステム構築(仕組み作り)を行い、それを運用・改善しながら、管理レベルを少しずつ上げていくことが、息の長い、かつ顧客から信頼を得る「品質保証システム」につながります。

審査員は管理レベル向上の仕組みを重視

さらに、最近の審査の傾向は、「品質保証システムの改善・向上の仕組みが出来ているか」ばかりでなく、「その仕組みが確実に運用されているか」に重点を置くようになっています。
現状の仕組みを充分に活用した「シンプルな仕組み作り」は、短期間での認証取得、そして取得後の維持運用にも直結するものです。

現状の仕組みをうまく取り込んだ、ビル用住宅用サッシの製造販売会社の例

ISO規格の「4.1.1品質方針」に、「経営者は品質方針を定め、これが、組織の全ての階層によって理解され、実行され、維持される事を確実にする事」という要求があります。
この会社では、年度末に翌年の事業計画を部門毎に作成し、その計画の進捗を毎月の幹部会議で確認するという仕組みを持っていました。そこで、この事業計画の「立案、実施、進捗報告、対策立案」という現状の仕組みを4.1.1の要求項目への対応とし、特にISO用の仕組みを新たに作りませんでした。

以上のポイントを踏まえた、メイソンで行うシステム構築のコンサルティングの一例を下図にご紹介します。

システム構築のコンサルティングの一例

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