ISO日本で広がって以来、とにかく難しく考えられているのが「教育」です。これはISO9001:
1994年版が「教育のニーズを明らかにし」との書き出しで、なにが何でも「教育が必要」とのスタンスの要求をしたことが原因と考えられます。
その弊害をなくすためにISO9001: 2000年版では「必要な力量(能力)を明らかにして足りない場合に教育が必要」とのスタンスに変更されており当然ISO14001でも同様の要求となっています。
ちなみに英語ではTrainingの1語で日本語では教育・訓練と2種類の言葉で説明していますがどちらも同じことです。ですから「教育と訓練の両方が必要と言う意味ではなく」Trainingのイメージは日本語の「教育或いは訓練のどちらのイメージも該当する」となります。
「力量」は例えば強酸・強アルカリ・ガソリンなどの危険物などの取扱をできる能力のことですね。何の知識もなく組織内で取扱を任せることはないでしょう。新人をその作業に付かせる場合は「教育・訓練」が必要であることは十分納得できる考え方です。
ここで視点を著しい環境側面に向けて見ましょう。規格がこだわる「著しい環境側面」と言う言葉は4.4.2項の中では「b)自分の仕事に伴う著しい環境側面~~~の自覚を持たせる手順を確立し、実施し、維持すること。」に出てくるだけです。
次に「教育・訓練」ですが、ISO14001規格は「力量・教育訓練」には「著しい環境側面」に関わる説明はしておらず、「著しい環境影響を持つ作業」「環境側面・環境マネジメントシステム」に関わる作業・人員に関して必要としています。言い換えると教育のニーズは「失敗すると事故を起こす可能性のある作業に関するもの」「環境マネジメントシステムでの法規制特定作業、システム構築・変更作業、監査作業などに関するもの」を想定することが出来ます。
を組織内の方が認識しておくことが必要なことも納得いくことです。勿論、これらの自覚が足りない場合(例えば会社の方針でごみの分別を実施しているにもかかわらず分別状況が組織が納得できるほどには良くない場合など)は自覚のための教育が必要になります。
過去のISOでは「教育のニーズを特定し」から始まり何が何でも教育を実施することが要求されていましたが、現在のISOでは必要な「力量(能力)」が満たされていて「自覚」についても「満たされている」と判定可能な状況であれば、逆の言い方をすれば「自覚が足りない」とか「能力が足りない」ためになんらかの不都合が起こってなければ教育の必要はありません。