特集:「食」のものづくり

概要

 

人類の道具の歴史は、食べるための石器づくりから始まる。いまから200万年前、人類が最初に作った道具は「打製石器」で、狩猟や獲物をさばくため、食べるために発達した。生命と最も直結しているこれら道具は、社会の変化に伴って少しずつ変化を重ねてきたが、この先も人類が存続する限り、共に発展しつづけていく技術だ。

近代的な食品機械が日本で研究されるようになったのは、明治初期の製麺機に端を発する。その後、精米機、製粉機械、乳業機械、餅つき機械、製菓材料である餡の製造機械などが生み出され、戦後になると、洋食に合わせた道具や機械も開発された。

近年は、消費者ニーズの多様化によって外食産業が発展し、機械も複雑化している。目下、少子高齢化に伴う需要の増加と労働力不足があいまって、自動化・ロボット化への研究開発が急ピッチで進み、手作りと遜色ない加工をする技術も開発が進む。また、総合メカトロニクスメーカーでありながら、工場内のクリーンルームで土を使わずにレタスを栽培する企業や、IOTを活用し、スマートフォンと連携して自宅の部屋で野菜を育てる水耕栽培機など、やさいづくりや工場のイメージを一新する取り組みも積極的に行われている。

一方海外では、根強い日本食ブームが続く。美味しくて安全な日本食のイメージは、それを支える日本製食品機械のニーズにも繋がる。また、現在は海外の安い労働力に依存している食品加工も、次第に機械に置き換えられていくだろう。

食品は、産業の裾野が広いことは言うまでもなく、地域性にも富む。求められる要件は多く、そして何より、美味しくなければならない。

こうしたことからも、「食品機械」は、世界で最も厳しい品質管理能力を有する日本の製造業が、今後も活躍できる余地を多く残す分野のひとつと言えるだろう。今回の特集では、日本の食を支える多種多様な企業を紹介していく。


掲載企業

平和の象徴「お好み焼」を広島から世界へ  オタフクソース株式会社
愛情ととうもろこしでできた幼児食器  iiwan(株式会社豊栄工業)
食肉解体のプロの技を機械に移植  株式会社前川製作所
いかに作るかを追求し、ステンレス加工のトップをゆく  株式会社日本メタルワークス
新鮮・安全・高速を実現する水産加工機  株式会社タダシ製作所
位置精度2μm以下の精密金型  株式会社本間製作所
ボトリングシステムのトップメーカー  澁谷工業株式会社

特集:「食」のものづくり

 

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