第27回 興和テクニカル 株式会社

興和テクニカル 株式会社 代表取締役社長 土屋 和彦 氏 代表取締役社長 土屋 和彦 氏

興和テクニカル 株式会社

所在地

静岡県 静岡市中吉田10-69

TEL

054-265-0885

FAX

054-265-0948

担当者

代表取締役 土屋 和彦

事業内容

樹脂製切削部品の製造販売

技術思考から更に前進、ITを使って営業を強化

興和テクニカルは、旋盤やマシニングセンターといった設備を使って、樹脂の切削加工や樹脂板による筐体製造を行う会社である。穏やかでいつも笑みを欠かさない同社の土屋社長は、某大手自動車メーカーに長く勤務していた。スピンアウトして会社を設立したのが97年。 その後、この景況の中で次々と業務を拡大し、わずか7年で3つもの工場を運営する現在の興和グループへと育てあげた。
同地区では一目も二目もおかれている土屋社長に、営業戦略とIT活用法について伺った。

技術志向

興和テクニカルは非常に技術志向の強い会社である。 これは技術者である専務の興津氏の影響によるものであろう。

加工を行う上で、常に工夫をこらす姿勢を同社には感じられる。 一例として、製品の加工に用いる治具や工具には、多数の自作製品が使われている。 さらに、工場内には自社で組み立てたというフライス盤が置かれていた。 切削を手がける会社の多くが小ロット加工を中心としているのに対し、同社が多数ロットを得意としているのも、このような工夫によって効率化が図れるからであろう。 実際、他社で出来ないために持ち込まれた加工品も多いとのこと。

また、この規模の工場としては非常に珍しいことであるが、研究開発専門の関連会社を設けていることも、同社の技術への意気込みを感じさせる。

詳細は明かせないとのことだが、この研究開発室では主に大手メーカーの受託を受け、開発製造を手がけている。

同社は、マシニングセンター11台、NC旋盤4台、複合旋盤6台、さらにはルーター、カッティングマシーン、曲げ装置など、非常に幅広い設備を多数所有している。

これらの設備がフル稼働しているのも、同社に対する顧客からの信頼の表れと言えるだろう。

設立7年という短い期間の中で、同社がこれほどの体制を整え、高い技術水準を獲得したのは、優秀な技術者が技術者を呼び、また彼らが優秀な技術者を育てるという好循環を作っているからなのだ。

同社のIT戦略

興和テクニカルでは、技術情報や生産行程へのIT導入が早期から行われている。 3D-CADを利用した設計、それを元にDNCでCAMデータを加工装置に流す仕組みなど、設立した初期から積極的に利用をしてきたのである。

そんな同社だが、急速に規模が拡大するにつれ、相対的に営業面での強化が必要になった。

営業担当者の増員も図っているが、同時にホームページのリニューアルも行なった。 リニューアルされたホームページには、問合せをしやすくなる工夫などの配慮がなされ、仕事につなげる気概を感じさせる。 単に営業マンを増やすだけでなく、営業のための道具まで準備するという、社長の戦略的な配慮である。

これまでのホームページでは、「問合せの数だけはあるけれど、ぴったりの顧客に巡り合わない」という不満が多かったと土屋社長はいう。
自社の業務内容をホームページ上で明確にすることにより、受発注者が共に満足する巡り合いができるよう意識しているのである。

興和テクニカルの今後

最後に、興和テクニカルが今後の進んでいく方向について伺ったところ、今後は営業の強化により、設計開発から協力していく仕事の比率をさらに増やしていきたいとのこと。 加工だけではなく、設計への提案から開発に協力できるメーカーへと進んでいくのであろう。

また同社は幅広い技術の集大成として、自社で開発した製品の販売も行っている。

そうすることで、企業としてのブランド性や従業員の意識向上が図られることを狙っているのだ。 実際、同社が手がけた「トレヴィシック蒸気機関車」の模型は、本国イギリスでも非常に好評であり、カンボーン地方にあるロイヤルコーンウォールミュージアムに展示されているそうである。

原点はモノづくり。 その喜びを社員と共有し、顧客の信頼と感動を広げたい。 そんな土屋社長の熱い思いと、それを実現する確かな戦略をもとに、興和テクニカルはこれからも飛躍しつづける。

『エミダスマガジン』編集長/金澤亜希子

興和テクニカル 株式会社

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