第5回 株式会社 中田製作所

株式会社 中田製作所 品質保証係長 中田 寛 氏 品質保証係長 中田 寛 氏

株式会社 中田製作所

所在地

大阪府八尾市

TEL

072-996-8621

FAX

072-922-8291

担当者

営業技術係長 山本 拓

事業内容

半導体・液晶製造装置のアルミ精密部品・医療・医薬機器のアルミ精密部品・微細加工部品(各種材質の対応可能)

得意分野にこだわる

NCネットワークには、というより中小製造業には汎用加工を行っている会社が多い。同じような加工ができる会社はたくさんあるため、競争を勝ち抜くためには自社の強みを発揮して優位に立つ必要がある。今回は、アルミ加工を得意分野として、積極的に営業展開を続ける町工場のリーダーを紹介する。

中田製作所は、東大阪と並ぶ大阪の工業都市・八尾市にある。 創業は1977年。もともとは金型設計から始まったのだが、ダイカストの切削加工をきっかけにして、アルミの機械加工にシフトした。現在は仕事の99%がアルミ加工という専門工場である。

中田寛は、中田製作所で品質保証係長を務めるかたわら、インターネットでの営業にも力を入れている次世代の担い手である。幼い頃は工場で働く父の背中に職人の誇りを感じながらも、工作油のにおいが好きになれなかったという中田だが、「不思議なことに、今では油のにおいも仕事しているなって実感できるようになりました」と笑う。

幼少時の記憶に導かれたのか、大学を卒業すると東京の都市銀行に入った。工場から離れるというより、自分の好きな仕事で町工場のお役に立ちたいと考えての選択だった。だが、勤めはじめて数年たったころ、両親から「戻ってこないか」と打診を受けることになる。中田は大いに悩んだが、モノづくりそのものには興味はあった。熟考の末、中田製作所に入社した。2年前のことだった。

最初の仕事は、ISO9000シリーズの認証を取得することだった。が、社長である父から言われたのは「作業時間中は、現場の作業者に話しかけないように」
銀行出身の素人のやることで、現場に負担を感じさせてはならない。社長の、現場への心遣いだ。中田にしてみれば、素人だからこそ聞きたいことは山ほどある。休み時間や終業後に現場に聞いて回るが、まとまった話はなかなかできない。

そこで中田が考えたのが、「連絡箱」を介して書面でやり取りをすることだった。職人は書類書きが苦手だ---よくいわれることである。しかし、現場の社員は自宅に連絡書を持ち帰り、夜中までかかって仕上げ、翌朝「連絡箱」に入れた。
目の下にくまを作ってまで宿題を仕上げてくる社員に心から感謝した。ひたむきに仕事を続ける中田の情熱が、会社全体を動かし始めた。キックオフから8か月後、あのJQAでISOの認証を取得した。

中田製作所が掲げる品質方針は、「守る納期と作った製品が次の営業を約束する」というものである。製造業なら当然のことであるし、現場の社員だってそう感じて仕事をしているはずだ。しかし、これを実践し、そして実現している製造業は、そう多くないだろう。

中田製作所は、納期遅れを出さない。短納期の仕事も、引き受ける前にすべて説明して調整しておく。昼夜交代で作業しても間に合わなければ、断ることもある。納期を守るということは、こういうことなのだ。

中田製作所には、職人はいない。そこにいるのは技術者だ。広い視野を持ち、つねに技術向上を目指す技術者の集団なのだ。優れた技術を誇る中田製作所であるが、よい製品を作れても、それがお客様の手元にそのまま届かなければ評価されない。加工から検査、出荷にいたるまで、どうしたら加工技術と品質を実現できるのかいつも考えている。この精神は、社長のきめ細かな指導により社内に行き渡っている。

すでに定評のある中田製作所であるが、最近、中田は営業として新規顧客開拓に取り組んでいる。社長からの「既存顧客は社長と現在の営業員が担当するから、他をあたれ」という指示のためだ。ところが、加工の経験がない中田だが、営業することに不安はないという。ISO認証取得活動を通じて築いた現場との信頼関係があるからだ。
「頼もしい仲間のおかげです」

中田製作所がNCネットワークに登録したのは2000年4月。2か月後、ある会社から引き合いがあり、商談が成立した。このときインターネットに大きな可能性を感じ、ネット営業に力を入れ始めた。

「町工場でも情報発信することで、自社の加工品を見てもらえるのが嬉しかった」

中田は楽しそうに語る。
あれほど悩んだ製造業の仕事も、今は楽しくてしょうがないと言う。アルミ加工という得意分野と現場との強力な信頼関係。そこから得られるのは顧客からの信頼だ。中田がなによりも大切にしているものである。

株式会社 中田製作所

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