特集:自社商品開発

株式会社XEN GROUP

株式会社XEN GROUP

1967年の創業以降、金属加工に心血を注いできた株式会社XEN GROUP。現在は、SDGsの達成に向けた自社ブランド事業、機械装置の開発・製造、自社開発装置を用いた付加価値食品の創造、持続可能な農業の追求、という4つの柱がある。受注型の加工業だった同社が、なぜ自ら生み出し、ジャンルをまたいで躍進しているのか。社長就任以来、売上2億円から27億円へ、従業員14名から190名へと成長させた社長の高畑洋輔氏に話を聞いた。

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2002年の大学卒業の時、高畑洋輔氏の内定はすでに決まっていた。しかし、板金加工会社の二代目社長であった父に、「工作機械メーカーに行くことが決まっている」と言われ、内定を辞退した。しかし入社式に向かうと、正社員ではなく実習生としての入社であることを知るのだった。
2年の実習を経て、父の会社、有限会社高畑電機に戻った高畑氏は、納期遅れ多発による経営状態の悪さ、不満だらけの従業員、という状況から逃げ出すことばかり考えていた。そんな時転機が訪れる。稲盛和夫氏の「盛和塾」への入塾だ。そこで経営について学んだ高畑氏は父に社長交代を直談判し、2011年に31歳にして三代目社長に就任。同時に会社名を株式会社タカハタに改名した。ここから業績は拡大の一途を辿っていく。
社長就任後は板金塗装だけでなく、組み立てまでを一貫して受注。決まり文句は「出来ます!やらせてください!!」。技術を吸収し、何でもできる会社となって経営状態の回復を図ろうと、基本的にはどんな依頼でも受注した。
主力製品は、配電盤や分電盤など特殊BOXの製造から産業機械装置、更にはアルミ製の競艇場の大時計など多岐にわたる。徐々に製造能力を上げ、経営状況が上向きになっていったがそれもつかの間、リーマンショックの影響で売上は二割減になった。このままではマズい。「人の生活に欠かせないもの。変動しない安定したものを」と考えた末、生きるために欠かせない食品関連の仕事へと足を踏み入れる。

食品事業との出会い

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豆腐製造の様子

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食品熱交換装置『X-Charge unit』の組み立て

徐々に食品機械の仕事にも取り組んでいた時、友人の紹介で運命的な出会いが訪れる。それが豆腐製造機械である。何からでも食品事業に関わりたいとの思いで、コンベアーの製作依頼を受けた。実機を見学すると、イメージしていたコンベアーとは違い、全長25mの学校プールサイズの食品殺菌装置だったのだ。無謀な挑戦になることは容易に感じ取れたが、チャンスを逃してはいけないと「作れます!」と言い放ったが、足りないものばかりだった。様々な協力会社に頭を下げて助けてもらいながら、試行錯誤の末、依頼通りの製品を作り上げた。しかし発注先の都合で買い取ってもらえなかった。「約束と違う」と頭を抱えて悔やんだが、機械は目の前にある。これを使って商売をするしかない!と、自らが豆腐事業を始めることを決断した。災い転じて福となす。株式会社タカハタはこれを転機に、板金加工業とメーカー事業への多角化を図っていくこととなり、後の事業方向を大きく変えていく。
豆腐製造につきものなのが副産物の「おから」である。おからは栄養価も高く家畜の餌などによく使われるが、量にも限界がある。水分を多く含んだおからは腐敗が速い為、消費できなかったおからは産業廃棄物として処理されるが、その費用は年間3,000万円。そこで、おからの利用価値を増やそうと「乾燥」させることを思いついた。乾燥機メーカーを訪問し、機械購入のための商談を進めていたところ、おから以外にも廃棄物の乾燥に可能性を感じ、話を進めるにつれてM&Aの話となり、乾燥機を作る側になった。結果的に、この乾燥機を導入することで産業廃棄物処理コストが抑えられ、さらにおからは「おからパウダー」として1億円の売り上げとなった。

SDGs への目覚め──もっと上の土俵へ

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X-Charge unitで前処理し冷凍された食品。
冷凍状態でバラバラ、カットも可能。


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アップサイクリングで付加価値商品へ

株式会社XEN GROUP<

この頃から高畑氏は、フードロスに関心を持ち始めた。将来、人口減少、食料不足が深刻化する中、多くの食材が無駄に廃棄されている現状を知り、乾燥によって食材をアップサイクリングすることに着目した。それは、SDGsという時流に沿った事業となった。
しかし、フードロスにおいてもっと上流での問題解決が必要だと思った高畑氏は、食品の鮮度保持など、フードロスを未然に防ぐ方法について模索し始めていた。そんな時、新たなご縁をいただき、一貫生産できる自分たちのモノづくり技術を活かし、一年半、試行錯誤を繰り返しながら、食品熱交換装置『X-Chargeunit』の完成に至った。
食品に一番含まれている成分は「水」で、品質に最も大きく影響を与えている成分もまた「水」である。その水の動きを司る温度をコントロールすることで本来の美味しさや品質を保つという、今までにない技術の開発に成功した。最も驚くべきは、冷凍品の味、色、香り、食感のすべてを冷凍前の状態に保つことだ。氷結晶ができない為、肉や魚もドリップが出ない。今後、この技術は世界の食文化常識を大きく変えることになると見込んでいる。
また機械の開発と同時に、食材をつくる側の問題解決もしなければ、有効的な循環型社会は生まれないと感じた。安全安心な野菜や果物を作るノウハウも習得しなければ、フードロスの根本的な解決にはならないのではないかと考え、自ら農業に取り組んでいる。現在は、自社テスト農場(5000坪の農地)にて地域活性化と地方創生に貢献しつつ、持続可能な農業を目指している。
2022年1月。株式会社タカハタは、株式会社XEN GROUPに社名変更し、「モノづくりは世界を豊かにする」というスローガンを掲げ、つくることの重要性と多様性を持ったサービスで日本ブランド復活を目指している。XEN(ゼン)という名前は、ZではなくXを使うことで「最善」を意味し、GROUPには「社内外の信頼関係やご縁を大切にする集団」という思いが込められている。
新技術と半世紀にわたるモノづくり技術によって食品製造業界に変革をもたらし、ひいては地球環境への大きな貢献ができるよう開発を重ねている。

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本社

〒761-0450香川県高松市三谷町3234-10

TEL

087-888-5852

FAX

087-888-5853

URL

https://xen-group.com/

 

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